本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
疑いをかけられたことは、有罪と判断されたことを意味しません。法律は無罪推定と適正な手続きを保障しています。取調べの前には、疑われている罪、黙秘権、弁護人を選任できることなどが告げられ、弁護人は原則として取調べに立ち会えます。性的自由を侵害する罪(台湾刑法でいう「妨害性自主」の罪)の多くは親告罪ではないため、検察官は犯罪の疑いを知れば捜査を始めます。一方、性騷擾防治法(セクハラ防止法)第25条の罪は親告罪です。こうした被疑者側の手続保障と、被害者を守る制度は、どちらも同じ刑事手続きの一部です。
まず確認:性的暴行とセクハラでは手続きが違う
刑法の「妨害性自主」の章(第221条以下)に定める強制性交や強制わいせつなどは性的暴行の犯罪(台湾でいう性侵害犯罪)に当たり、性侵害犯罪防治法による特別な捜査・裁判の手続きがあります。そこまでに至らないセクハラは、性騷擾防治法によって扱われます。職場や学校でのセクハラには、性別平等工作法や性別平等教育法も関わります。性騷擾防治法第25条は、性的嫌がらせの意図で、相手が抵抗する間もないうちにキスをする、抱きつく、胸部・臀部などの性的な部位に触れる行為を処罰の対象としています。
適用される罪名、法定刑、申立ての窓口は行為の内容と場面によって異なります。性騷擾防治法第25条の犯罪も、警察・検察による刑事捜査の対象です。通知書に記載された事件名と罪名を確認してください。
捜査中に保障される基本的な権利は?
台湾の刑事訴訟法では、起訴される前の捜査段階でも、検察官の捜査を受けている人を「被告」と呼びます。日本の「被告人」は起訴後の呼び方なので、それより広い意味です。被告を取り調べる前には、疑われている犯罪の内容とすべての罪名、黙っていてよく自分の意思に反して話す必要はないこと、弁護人を選任できること、自分に有利な証拠を調べるよう求められることを告げなければなりません(刑事訴訟法第95条第1項)。弁護人のいない被告が「弁護人を選任した」と伝えたときは、取調べをすぐにやめなければなりません。ただし、本人が続けることに同意した場合は別です(同条第2項)。
被告はいつでも弁護人を選任できます。警察(司法警察官・司法警察)の調べを受けている段階の被疑者(台湾でいう「犯罪嫌疑人」)も同じです(第27条第1項)。本人の法定代理人、配偶者、直系血族、三親等以内の傍系血族、家長・家族も、本人のために独自に弁護人を選任できます(同条第2項)。
取調べで弁護人は何ができる?
捜査は原則として非公開ですが、弁護人は、検察官、検察事務官、司法警察官、司法警察が被告や被疑者を取り調べるときに立ち会い、メモを取り、意見を述べることができます(第245条第1・2項)。立会いを制限・禁止できるのは、弁護人が立ち会うと国家機密を害する、証拠を隠滅・偽造・変造する、共犯者や証人と口裏を合わせる、他人の名誉を傷つけるといったおそれがあると認めるに足りる事実がある場合か、弁護人のふるまいが不当で捜査の秩序に影響する場合に限られます。制限・禁止の理由は調書に書かなければなりません(同条第2項ただし書・第3項)。第245条第2項ただし書による立会いなどの制限・禁止に不服がある被告・被疑者と弁護人は、第245条の1に基づき、管轄裁判所に取消しまたは変更を申し立てられます。期間は制限・禁止の日を基準に10日で、送達される処分は送達後から数えます。日を単位とする期間では初日を算入しません。裁判所は、処分の執行が終わったという理由だけでは却下できません。この申立てに対する裁定には抗告できません。
被告或犯罪嫌疑人之辯護人,得於檢察官、檢察事務官、司法警察官或司法警察訊問該被告或犯罪嫌疑人時在場,並得筆記及陳述意見。(刑事訴訟法第245條第2項)
〔非公式要約〕刑事訴訟法第245条第2項は、弁護人が被告・被疑者の取調べに立ち会い、筆記し、意見を述べる権利を定めます。
性的自由を侵害する主な罪と法定刑
台湾刑法の主な規定と法定刑は次のとおりです。強制性交は3年以上10年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)です(第221条)。2人以上で共同して行った場合や、14歳未満の人に対して行った場合などの加重強制性交は7年以上の有期徒刑(第222条)、強制わいせつは6か月以上5年以下の有期徒刑です(第224条)。このほか、精神や身体の障害、知的な障害などのために相手が抵抗できない、または抵抗すべきことが分からない状態を利用した性交・わいせつ(第225条)、14歳未満の人との性交(第227条第1項。3年以上10年以下の有期徒刑)、地位や権限、機会を利用した性交(第228条)も処罰されます。条文、要件、法定刑は法令の原文で確認し、実際の事件にどう当てはまるかは具体的な事実から判断します。
親告罪ですか? 被害者が告訴を取り下げるとどうなりますか?
性的自由を侵害する罪の多くは親告罪ではありません。検察官は、告訴や告発、自首などをきっかけに犯罪の疑いを知れば、すぐに捜査を始めます(刑事訴訟法第228条第1項)。被害者が告訴しなくても捜査は進みます。例外は、配偶者に対する刑法第221・224条の罪と、18歳未満の人が犯した第227条の罪で、これらは親告罪です(刑法第229条の1)。また、性騷擾防治法第25条第1項の罪も、同条第2項により親告罪で、刑法の「妨害性自主」の罪とは扱いが違います。
親告罪であれば、告訴人は第一審の弁論が終わるまで告訴を取り下げられますが、取り下げた後にもう一度告訴することはできません(刑事訴訟法第238条)。親告罪ではない大多数の事件では、被害者が処罰を望まなくなっても、法律に従って捜査や起訴が進むことがあります。
捜査中、かえって不利になる行動は?
裁判官が被告を尋問したうえで、罪を犯した疑いが強く、証拠の隠滅・偽造・変造や、共犯者・証人との口裏合わせのおそれを認めるに足りる事実があって、羈押しなければ訴追、裁判、刑の執行が明らかに難しいと判断したときは、羈押(勾留)が認められます(刑事訴訟法第101条第1項第2号)。こうした事情は、保釈(具保)、責付(親族などに身柄を預けること)、住居制限を判断するときにも考慮されます。告訴人や被害者、証人に自分から連絡して事情を説明したり、告訴の取下げを頼んだりするのはやめてください。相手をさらに傷つける(二次被害)おそれや、別の法的責任を問われるおそれがあるうえ、証人と口裏を合わせようとしていると疑われることもあります。伝えたいことがあるときは、弁護人を通じて正式な手続きの中で伝えます。
公判でも、被告人と弁護人には一定の制限があります。裁判所が必要と認めた場合を除き、被害者が被告人以外の人と持った性経験について尋問したり、それに関する証拠を出したりすることはできません(性侵害犯罪防治法第23条第4項)。被害者に対する性差別的な発言やふるまいは、裁判所がすぐに制止します(同法第25条)。これらは被害者を守るための手続きのルールで、被告人が反論し、防御する権利を奪うものではありません。
罪名と取調べ前の準備
警察からの出頭通知や検察の呼出状が届いたとき、罪名や親告罪かどうかが分からないとき、取調べでどんな権利を主張できるのか不安なときは、出頭する前にご相談ください。このページは一般的な説明で、個別の事件についての法的意見ではありません。
