本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
判決を待たずに、保護を受けることができます。性侵害犯罪防治法でいう「被害者」には、性侵害(性暴力)を受けた可能性のある人も含まれます(第2条第3号)。あなたの氏名や身元が分かる情報は原則として秘密にされ、メディアも公表できません。捜査や裁判には、信頼できる人に付き添ってもらえます。裁判は原則として非公開で、同じ話を何度もしなくて済むような仕組みもあります。起きたことは、あなたのせいではありません。ご自身のペースで、一つずつ進めていきましょう。
まず安全を確保し、手続きはそれから考えましょう
台湾で身の危険が差し迫っているときは、110に電話してください。相談、付き添い、支援先の紹介は、113保護ホットラインで受けられます(24時間・年中無休・無料。家庭内暴力、性暴力、セクハラなどの相談を受け付けています)。各直轄市・県(市)の性侵害防治センターも、関係機関と連携して24時間の電話窓口と緊急救援を用意しており、受診、傷の検査と証拠採取、心のケア、緊急の避難先、法律相談を支援します(第6条第1項)。
医療機関は、正当な理由なく診察や、けがの状態を記した診断書(驗傷診斷書)の発行を断ることはできません。診察のときは看護師が付き添い、プライバシーを守らなければなりません(第14条)。傷の検査と証拠採取には、原則としてあなたの同意が必要です。ただし、刑事訴訟法にもとづく場合や、本人が意識を失っていて意思を示せない場合は例外です(第17条第1項)。同意は書面で行います(施行細則第11条第2項)。
113ホットラインについての出典:台湾衛生福利部 ↗。
身元が分かる情報は守られます
仕事の中で被害者の氏名、生年月日、住所などを知った人は、法律に別の定めがある場合を除き、秘密を守らなければなりません。行政機関や司法機関が公開する文書にも、これらの情報を載せてはなりません(性侵害犯罪防治法第15条第1項・第3項)。
メディアは原則として、被害者の氏名など身元が分かる情報を報道できません。例外は、成人の被害者本人が同意した場合と、検察官・裁判所が法律にもとづき必要と判断した場合に限られます(第16条第1項)。メディア以外の人も、どんな方法であれ公開したり明かしたりしてはなりません(第16条第4項)。写真・映像・声・住所、親族の氏名や続柄、学校・クラス・職場なども、身元が分かる情報に当たり得ます(施行細則第10条)。違反すると、放送・テレビなどのメディア事業者には6万~60万台湾ドル、正当な理由なく公開したメディア以外の人には2万~10万台湾ドルの過料が科されることがあります(第48条第1・2・4項)。第15条第1項の守秘義務を負う人が違反した場合も、6万~60万台湾ドルです(第47条)。
信頼できる人に付き添ってもらえます
あなたが同意すれば、法定代理人、配偶者、直系血族または三親等以内の傍系血族、家長、家族、医師、心理師、カウンセラー、ソーシャルワーカー、あるいはあなたが信頼する人が、捜査や裁判に付き添い、意見を述べることができます(第18条第1項)。ただし、被疑者・被告人は付添人になれません。検察官や司法警察官などが、その人がいると捜査の妨げになると判断した場合も同様です(第18条第2項)。
市・県の主管機関に、ソーシャルワーカーの派遣を申請することもできます。明らかに必要がない場合を除き、主管機関は断れません。被害者が子どもや青少年の場合は、明らかに必要がない場合を除き、主管機関がソーシャルワーカーを付き添わせなければなりません(第18条第3項、施行細則第13条)。
同じ話を何度もしなくて済む仕組み
台湾衛生福利部の重複陳述を減らすための手続指針は、通報から公判の前までに何度も事情を聴かれる負担を減らすためのものです。対象は、18歳未満の人、精神・知的障害のある人(原文:心智障礙者)、そのほか申請した被害者です。ただし、事前にソーシャルワーカーが面談し、適していない、または必要がないと判断した場合は除かれます(指針第3点)。
指針では、聴取の全過程を途切れなく録音・録画し、原則として一回で終えること、ソーシャルワーカーが最初から最後まで付き添って意見を述べられること、検察官や裁判官がまず録画を確認して同じことを聴き直さないようにすることが定められています(第7・10・13・17点)。これは行政上の運用の仕組みで、適用されるかどうかは事件ごとに判断されます。
法律上も、必要があれば、子どもや精神・知的障害のある被害者の聴取に専門家が立ち会って補助します(第19条)。また、性暴力による心の傷のために法廷で話せない場合などには、以前の調べで話した内容を証拠にできることがあります。そのためには、特に信用できる状況で話されたことが証明され、犯罪事実を証明するのに必要であることが条件です(第26条第1項)。
裁判中の保護
- 非公開の審理:性侵害事件の裁判は、原則として公開されません。成人の被害者本人が同意し、裁判所が公開を必要と認めた場合は例外です(第27条第1項)。
- 別室での尋問:裁判所は、法廷の外での尋問や、音声・映像をつないだ尋問などを使うことができます。被害者が子ども・青少年、精神・知的障害のある人、心身に深い傷を負った人で、法廷で尋問されると自由に、または十分に話せなくなるおそれがある場合は、裁判所はこうした隔離の措置をとらなければなりません(第23条第1・2項)。
- 不適切な質問の制限:被告人や弁護人は、裁判所が必要と認めた場合を除き、被害者と被告人以外の人との性的な経験について質問したり、その証拠を出したりすることはできません(第23条第4項)。被害者に対する性差別的な発言や態度があれば、裁判所はすぐに止めなければなりません(第25条)。
費用の補助とその他の支援
申請すれば、地方の主管機関から、健康保険でカバーされない医療費、診察・証拠採取の費用、心のケアの費用、訴訟費用や弁護士費用の補助を受けられることがあります(第28条第1項)。対象、条件、金額は、各地方の規則で決まります(第28条第2項)。
検察官が起訴した後は、被害者は訴訟参加を申請することもできます。犯罪被害人權益保障法には、保護サービスや補償金の制度もあります。詳しくは犯罪の被害者は、刑事裁判に参加できますか?をご覧ください。
自分で刑事告訴をする必要はありますか?
刑法の性的自己決定を侵害する罪の多くは、被害者の告訴を必要としません。親告罪とされているのは、刑法第229条の1が挙げる場合だけです。つまり、配偶者に対する第221条または第224条の罪と、18歳未満の人が犯した第227条の罪です。それ以外の場合は、検察官が犯罪の疑いを知った時点で捜査を始めます(刑事訴訟法第228条第1項)。なお、公訴時効(台湾でいう「追訴権時効」)については、憲法法廷の115年憲判字第6号判決(2026年)があります。2005年2月2日の改正前の刑法第80条は、被害者が子どもや青少年の場合に、被害をすぐには打ち明けられないことが多いという事情を考えずに時効期間を数えていたため、その範囲で、国に犯罪の訴追を求める権利(訴訟権)を侵害するとされました。対象は、判決の附表二に挙げられた子ども・青少年に対する性犯罪に限られます。また、この判決は、旧規定で時効がすでに完成した事件を、さかのぼって再び訴追できるようにするものではありません。判決前から裁判所にかかっていて、旧規定では時効期間が満了している事件も、判決のもとになった事件を除き、旧規定で計算されます。2026年7月22日に改正が公布された刑法第80条第3項は、第221条から第227条、第228条、第229条、第332条第2項第2号、第334条第2項第2号、第348条第2項第1号の罪について、被害者が20歳になるまでの期間を時効期間に数えないと定めています。刑法施行法第8条の2第2項により、この改正の施行前から時効が進行し、まだ完成していなかった事件にも新しい規定を適用します。すでに完成した時効を、この改正によって復活させるものではありません。時効が完成しているかどうかは、事件ごとに確かめてください。
被害後の支援と手続きの相談
弁護士を告訴代理人に選ぶことができます(刑事訴訟法第236条の1)。告訴した後は、告訴人として、裁判に出席して意見を述べる代理人を頼むこともできます(第271条の1)。事情をどう話すか、訴訟参加を申請するかどうかも、まず説明を聞いてから決めることができます。このページは一般的な情報の提供であり、個別の事件への法的意見ではありません。
