請求する人と賠償責任を問う相手
犯罪で損害を受けた人は、刑事被告人と民法により賠償責任を負う人に損害回復を請求できます。刑事被告人以外も相手となり得ますが、その人が民法上責任を負う根拠は必要です。家族や会社であること、支払能力があることだけで当然に責任を負うのではありません。
第487条は請求範囲を民法によると定めます。犯罪の認定と、損害の項目、額、因果関係はそれぞれ検討対象です。刑事事件が有罪でも、請求額がすべて当然に認められるわけではありません。示談や返還で既に受け取った金額と、なお回復していない損害も分けて把握します。
起訴後から第二審の弁論終結前まで
第488条により、刑事起訴後、第二審の弁論終結前に提起します。捜査中の告訴状に被害額を書いたことだけでは、この時期に附帯民事訴訟を起こしたことにはなりません。実際の事件書類から起訴の有無と現在の段階を確認します。
この期間にも例外があり、第一審の弁論終結後から上訴を提起する前までは提起できません。第二審の弁論がまだ終わっていなければいつでもよい、という規則ではありません。第一審の弁論が終わったか、上訴が提起されたか、その日がいつかによって、利用できる時点が変わります。
刑事記録があっても請求額の根拠は必要
医療費、財産損失など、実際の請求内容に応じて資料を整理し、犯罪による損害との関係を示します。領収書や計算表は支出や計算の過程を示しますが、書類があるだけで各項目が民法上の賠償対象になるとは限りません。
刑事被告人以外にも請求するなら、各人の責任を基礎付ける事実を区別します。刑事記録の証拠を参照できても、すべての民事被告との法律関係や請求額が判断済みになるわけではありません。これらは請求の内容を具体化するための整理であり、法律が一律に指定した添付書類の一覧ではありません。
複雑な事件の移送と裁判費の免除
第504条により、附帯民事が複雑で長期間を要すると裁判所が認めると、合議の裁定で同じ裁判所の民事部に移送できます。法定人数に足りず合議できない場合には院長が裁定します。移送は担当手続の変更であり、請求が認められた、または否定されたという判断ではありません。
この条文による移送事件は裁判費が免除され、移送裁定への抗告はできません。免除は裁判費についてのもので、弁護士費用や鑑定費などすべての支出が無料になるという意味ではありません。別の理由によるあらゆる民事移送に、同じ免除をそのまま当てはめることもできません。
民事部への移送後は民事訴訟法による
第490条は、この編の特別規定がなければ刑事訴訟の規定を準用するとしつつ、民事部への移送、差戻し、送付後は民事訴訟法を適用すると定めます。事件を扱う部が変わる際には、適用される手続も確認することになります。
移送裁定を受けた後は、書面、通知、その後の進行を民事部の事件として把握します。刑事事件に附帯して始まったというだけで、その後も刑事部と全く同じ手続で進むとは限りません。民事部に移ったことと、賠償請求が認められるかは、別の判断です。