令状は端末だけでなく記録と照合する
第128条は、捜索には原則として捜索令状を用い、事件の内容、捜索対象者または押収対象物、捜索する場所・身体・物・電磁的記録などを記載すると定めます。令状には裁判官の署名のほか、有効期間、期限後には執行できないこと、執行後に返還すべきことなどの記載が必要です。これにより授権の内容を具体的に確かめられます。
携帯電話の機種や製造番号は、媒体の特定にはなります。しかし、それだけで、どの情報の閲覧が認められるかまで分かるとは限りません。事件の記載、電磁的記録の記述、別紙、裁判官の指示を併せて読みます。端末という一語だけではなく、実際に閲覧したアカウント、会話、写真との対応を確認します。
アプリが同じでも事件との関係は違います
同じLINEアカウントにも、本件に関係する会話と無関係な会話が混在します。同じアルバムにも、時期や人物が異なる写真が入っています。アプリ全体を一つの証拠として扱うと、それぞれの情報と捜索目的との関係が見えなくなります。相手、期間、証明しようとする事実に分けて比べる必要がある場合があります。
これは令状に必ず特定の書式を使うという意味でも、名前が一字ずつ列挙されていないファイルがすべて排除されるという意味でもありません。授権された対象と取得方法が問題です。端末が押収済みで事件に関係する、という説明だけでは、その中の記録の捜索範囲への疑問に答えられないことがあります。
臺南分院の事例で使えなかった別件の会話
臺灣高等法院臺南分院112年度上訴字第531号の公式発表では、元の令状が対象とする秘密漏示の事実や相手に、後から取得した被告人と別人とのLINEの会話が含まれていないとされました。また、別件の証拠として付随的に押収する要件も満たさないと判断されています。媒体が捜索場所にあったというだけでは、これらの問題は解消しません。
同院はさらに第158条の4により人権保障と公共の利益を衡量し、緊急性がなかったことなどを考慮して、会話の証拠能力を否定しました。これは、その事件の令状と取得状況に基づく判断です。偶然見つかった別事件の情報がすべて使えないという一律の規則ではありません。事例を参照する際も、どの条件が自分の事件と共通するかを示す必要があります。
臺灣高等法院臺南分院112年度上訴字第531號新聞稿 · 刑事訴訟法第158-4條
第三者の記録の捜索には別の条件があります
第122条は、被告人・被疑者への捜索について必要性を要求します。第三者の身体、物、記録、住居などの場合には、被告人・被疑者、または押収すべき物や記録が存在すると信じる相当の理由も必要です。事件関係者と連絡していた第三者であっても、すべての情報の捜索に制限がなくなるわけではありません。
端末の登録名義人、実際の使用者、会話の当事者は一致しないことがあります。争点を整理するときは、媒体を誰が持ち、アカウントを誰が使い、内容が誰に関わり、捜査機関がどの根拠を示したかを分けて説明します。登録名義だけで全データの扱いを決めるのではなく、各条件に関係する事実を示します。
取得した経緯と証拠として使う内容をつなぐ
比較に使う資料として、令状と別紙、押収物の一覧、捜索記録、実際に引用された画像や抽出データがあります。それぞれを元の端末、取得時刻、授権内容に結び付けると、媒体の確保を争っているのか、内部の閲覧か、特定の会話の証拠使用かを区別できます。
第158条の4は、法定手続に反して得た証拠について衡量による判断を定めますが、法律に別段の定めがあればそちらに従います。範囲を超えたと主張する際は、受けた侵害と取得方法との関係も具体化します。ここで挙げた条文と事例だけで、遠隔のクラウド情報や強制的なロック解除の問題すべてが解決されるわけではありません。
記録に会話の一部の画像しかない場合、画像に映った範囲と、捜査機関が実際に閲覧した範囲は分けます。前者は記録から確認できても、後者には捜索記録などの説明が必要なことがあります。分からない部分は、判明している事実と区別して示せます。
写真のファイル名、画像内に表示された日付、実際の撮影時刻は、必ずしも同じ情報ではありません。特定の期間によって捜索範囲を区切っているなら、どの時間情報を根拠に範囲内と判断したのかを確かめます。写真がある人物に関係して見えるというだけでは、令状が対象とする期間や事項との比較に代わりません。内容が誰に関わるかという検討と、期間内の情報かという検討を、資料に即して対応させます。
刑事訴訟法第122條 · 刑事訴訟法第128條 · 刑事訴訟法第158-4條