被害者に代わって提起できる人
第319条は犯罪被害者に自訴を認めています。被害者に行為能力がない、制限されている、または被害者が死亡した場合は、法定代理人、直系血族または配偶者が提起できます。事情を知る友人や証拠を保管する人というだけでは、この資格を得ません。
被害の経過とともに、誰がどの資格で提起するのかを明確にします。被害者から委託を受けた書面があることと、法律上の自訴権を持つことは別です。法定の資格がある場合にも、弁護士への委任という要件は残ります。
自訴状に必要なのは具体的な犯罪事実
第320条により、管轄裁判所へ自訴状を提出します。被告人の氏名、性別、年齢、住所・居所、または本人を識別できる特徴、犯罪事実、証拠、違反した条文を記載し、被告人の人数に応じた副本を用意します。犯罪を構成する具体的な行為に加え、日付、時刻、場所、方法も記載対象です。
罪名や被害の評価だけでは具体的な事実に代わりません。メッセージ、振込記録、映像は、それぞれが示す行為と結び付けます。振込の存在を示す資料が、受取人の認識やほかの被告人全員の関与まで証明するとは限りません。不明な部分を推測で補うと、証拠と主張との対応が分かりにくくなります。
検察官の捜査開始後には原則として利用できません
第323条は、同一事件について検察官が第228条による捜査を開始した後の自訴を原則として禁止します。事件を担当する機関を変えたいという希望だけで、二つの手続を併行して利用できるわけではありません。どの事実が同一事件に当たるか、捜査がいつ始まったかを確認します。
例外は、告訴を要する犯罪について直接の被害者が自訴する場合と、第258条の3第2項後段の裁判所の許可に基づく場合です。告訴を要する犯罪であることと、提起する人が直接の被害者であることは別々の条件です。過去に告訴状を出したというだけでは、この例外の要件は満たせません。
直系尊属や配偶者を相手にする場合
第321条は直系尊属または配偶者に対する自訴を原則として禁じています。ただし、第258条の3第2項後段の裁定による場合は例外です。直系尊属には父母や祖父母などが含まれますが、親族全員を一律に指す言葉ではありません。
この制限の対象は自訴です。家族間の犯罪は警察への申告や告訴も一切できない、という意味ではありません。また、裁判所の許可を受ける特定の経路があることから、どの親族事件でも最初からその例外を使えるとはいえません。
既に進む手続と一部の事実を分けて確認する
検察官が捜査開始後に、自訴が先行していたことや第323条の例外を知った場合、捜査を停止して裁判所へ移送しなければなりません。緊急の場合には、なお必要な処分を行います。先後関係は事件書類と対象となる事実、各手続の日付に即して判断する必要があります。
第319条は、犯罪事実の一部について自訴した場合、ほかの部分が本来は自訴できなくても、自訴できるものとして扱うと定めます。ただし、その本来自訴できない部分がより重い罪である場合、第一審が高等法院の管轄に属する場合、または第321条に当たる場合は、この規定を適用しません。関連する事実を同じ書面にまとめても、法定の制限までなくなるわけではありません。