ドアが開いていても退出できない場合
出口を囲む、見張りを置くなどの方法によって、本人の意思で出られなかったかを実際の支配状況から確認します。電話や移動手段の管理も関係する資料ですが、特定の物を取り上げた一点だけで、自由の剥奪の要件すべてが証明されるわけではありません。退出できる現実的な状況があったかが問題になります。
借金の話合いに来ることを承諾しても、その後ずっと留め置かれることまで承諾したとは限りません。いつ帰る意思を示し、相手がどう妨げ、現実に利用できる退出方法があったかを調べます。在場時間と拘束時間を分けます。両者が一致するとは限りません。
5つの加重事情は選択的な条件
第302条の1は、3人以上の共同犯行、凶器の携帯、精神・身体の障害またはその他の心智の欠陥がある人に対する犯行、被害者への虐待、7日以上の自由剥奪を挙げています。いずれか一つに該当する場合に加重が問題となり、全部がそろう必要はありません。7日ちょうども含みます。
3人いたというだけで3人の共同犯行が証明されるものではなく、各人の参加、分担、認識を確かめます。凶器の携帯、被害者の状態、虐待も個別の事実です。7日未満で解放されても、通常の罪が成立したり、ほかの加重事情から第302条の1が問題となったりする可能性があります。
未遂を処罰する範囲にも違いがあります
通常類型も未遂を処罰します。第302条第1項が対象です。第302条の1では、第1項第1号から第4号までの未遂が明記されています。第5号の「7日以上」はこの未遂規定に入っていません。実際に7日に達しなかった行為を、直ちに7日以上の加重類型の未遂と呼ぶことはできません。
未遂の判断にも、実行の着手、当初の意思、完成しなかった理由を確認する必要があります。集まりの準備、返済要求、近くにいたという事情と、違法な支配の実行との関係を具体的に調べます。最後に救出されたり自力で帰れたりしても、既に行われた自由の剥奪まで消えるわけではありません。
死亡・重傷と予見可能性
通常の条文にも加重類型の条文にも、死亡や重傷を生じさせた場合の規定があります。結果による加重には因果関係の確認のほか、第17条の制限があります。行為者がその結果を予見できなかったときは、結果によって刑を加重する規定を適用しません。結果の重大さだけで個別の判断を省略できません。
診療記録、拘束の方法、時間、被害者の身体状況などは、行為と結果のつながりを確認する資料です。参加者ごとに何を行い、何を認識できたかも調べます。人数と結果は評価に関係します。各人の行為も証明が必要です。
到着、拘束、退出を分けた時間関係
出入りの映像、通信、位置情報、助けを求めた記録、同席者の見聞を照合すれば、拘束開始と解除の時点を確かめられることがあります。おおよその時刻しか分からなければ、その推定根拠を残し、未確認の時刻を確定事実として埋めないようにします。
借金から拘禁権限は生じません。借入れや返済の記録は取立ての背景を示す資料として使い、現場の自由の調査と併せて検討します。支払後に退出を許された記録は、拘束の条件と解除の経過の両方に関係する場合があります。