どの証拠を、誰の事件のために扱ったか
第165条が挙げるのは、証拠の偽造、変造、滅失、隠匿と、偽造・変造した証拠の使用です。ファイルの内容を書き換えることや、記録のある機器を隠すことも、削除とは別の行為として検討されます。ほかにバックアップがあっても、実際に何をしたか、その行為がどう作用したかを確認する必要があります。操作名だけでは決まりません。
対象が「他人」の事件である点に制限があります。自分の事件の資料を消した行為を、すべて第165条で扱うことはできません。共同被告人やほかの人の事件にも関係する資料なら、各事件とのつながりを確かめます。この条文が適用されない場合にも、別の犯罪、勾留理由、証拠の評価といった問題は残り得ます。
記憶の確認と証言を条件とする利益
見聞した日付や元のメッセージを確認するよう頼むことと、指定した話に合わせるよう求めることは、経過が異なります。第172条の1は、証人、鑑定人、専門家証人、通訳に不正な利益を持ちかけ、約束し、または渡して、証言・鑑定・通訳をしないことや、一定の内容ですることを取り決める行為を対象とします。全額交付は必要ありません。
証言などについて相手側が不正な利益を要求し、約束し、または受け取る行為も処罰対象です。何が利益とされたか、どの発言や行動との交換だったか、相手の立場を具体的に調べます。「助けてほしい」という一言だけでは利益交換を証明できませんが、会話全体にある交換条件を打ち消すこともできません。
証人の家族に対する犯罪も加重の対象に
証言などを妨げ、または一定の内容にさせる目的で犯罪を行った場合、第172条の2による加重が問題になります。対象者本人のほか、配偶者、直系血族、3親等以内の傍系血族、2親等以内の姻族、家長、家族、婚約者、その他身分上または生活上密接な利害関係にある人も条文の範囲に含まれます。
規定された目的と犯罪行為が必要で、犯した罪の刑を2分の1まで加重します。証言前の連絡という時期だけで、この加重が決まるわけではありません。他方、働きかけが本人ではなくその家族に向けられた場合にも、実際の対象と目的を調べる必要があります。
自白と親族関係による減免の限界
第165条の犯罪について、関係する他人の刑事被告事件の裁判が確定する前に自白した場合、第166条は刑の軽減または免除を定めます。基準となるのは、その「他人の事件」の裁判の確定です。自分の証拠破棄事件の進行を自由に基準にできる制度ではありません。復元は自白ではありません。
親族については、第167条に配偶者、5親等以内の血族、3親等以内の姻族が、犯人または適法に逮捕・拘禁されて逃走した人の利益を図り、第164条または第165条の罪を犯した場合の刑の軽減・免除があります。関係、親等、目的、罪名に条件があります。友情だけでは適用されません。
依頼の原文とファイルの履歴
削除や発言変更を求めたメッセージは、前後を含めて残すと依頼の内容を確認できます。ファイルの版、バックアップの時刻、送信先、利益の約束や交付の記録も検討材料です。一言だけを切り出すと、保存、整理、削除、虚偽の版の作成のどれを求めたのかが分からなくなることがあります。
既に改変が見つかった場合、元の機器、クラウドの履歴、接触した人の時間関係はそれぞれ違う情報を示します。さらに上書きしたり、関係者に同じ説明を求めたりすると、最初の変更を復元しにくくなることがあります。操作した人、指示した人、他人の事件との関係を知っていたかは、個別に証明されるべき事項です。