本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
居留許可や永久居留許可が取り消される刑事上の理由は、「1年以上の有期徒刑(有期の自由刑)の判決が確定したこと」です。ただし、過失犯の場合や執行猶予(緩刑)が付いた場合は除かれます(入出國及移民法(入出国及び移民法)32条・33条)。中華民國刑法95条の「驅逐出境」は裁判所が言い渡すもので、移民署の「強制驅逐出國」は行政処分です(36条)。羈押(勾留)や出国制限などを受けていなければ、事件の途中でも退去させられることがあります(36条3項)。一方、司法機関の通知で出国を制限されている人は、居留の理由がなくなっても、引き続き居留が認められることがあります(31条)。
捜査を受けているだけで、居留証は取り消されますか?
捜査中や裁判中というだけでは、32条の「判決が確定した」という刑事上の理由にはまだ当たりません。移民署(内政部移民署)が居留許可を取り消す(原文「撤銷或廢止」)刑事上の理由は、「1年以上の有期徒刑の判決が確定したこと」です(入出國及移民法32条3号)。永久居留も同じです(33条3号)。
ただし、居留はほかの規定にも左右されます。居留の理由がなくなったときは、法律で定められた事情がない限り、移民署は居留許可を廃止します(31条4項)。また、居留を申請するときや居留の理由を変更するときには、「犯罪歴があること」が、移民署が不許可にしたり取り消したりできる理由の一つになっています(24条1項3号)。
判決が確定したら、どんな場合に居留や永久居留が取り消されますか?
1年以上の有期徒刑の判決が確定すると、居留許可は取り消されるか廃止されます。ただし、過失犯の場合や、執行猶予(緩刑)が付いた場合は除かれます。(入出國及移民法32条3号)外僑永久居留許可にも同じ規定があります(33条3号)。また、驅逐出國(国外退去)の処分を受けた人も、居留や永久居留の許可が取り消されます(32条8号、33条8号)。
つまり、刑の重さ、過失犯かどうか、執行猶予が付くかどうかが、いずれも居留に関わってきます。執行猶予の要件は前科は残りますか? 執行猶予と良民証(警察刑事紀録証明)で、捜査の段階で緩起訴などにより事件が終わる場合との違いは台湾の「緩起訴」とは? 不起訴との違い、猶予期間と条件で説明しています。なお、緩起訴は日本の起訴猶予に似ていますが、仕組みが異なる点もあります。
移民署對有下列情形之一者,撤銷或廢止其居留許可,並註銷其外僑居留證:……三、經判處一年有期徒刑以上之刑確定。但因過失犯罪或經宣告緩刑者,不在此限。(入出國及移民法第32條第3款)
〔非公式要約〕1年以上の有期徒刑の判決が確定した人は、居留許可を取り消され居留証を抹消されますが、過失犯や執行猶予付きの場合は除かれます(入出國及移民法32条3号)。
刑法の「驅逐出境」と移民署の「強制驅逐出國」は何が違いますか?
前者は裁判所が刑事判決の中で言い渡すもの、後者は移民署の行政処分です。外国人が有期徒刑以上の刑を言い渡されたときは、刑の執行を終えた後または赦免の後に、国外へ退去させることができます(刑法95条)。裁判所が判決で驅逐出境もあわせて言い渡し、それが確定したときは、移民署は審査会を開かずに強制退去させることができます(入出國及移民法36条4項2号)。
移民署は、入国審査を受けずに入国した場合などには強制退去させ「なければならず」(36条1項)、期限までに延長を申請しなかった場合や居留許可が取り消された場合などには、強制退去させるか10日以内の出国を命じることが「できる」とされています(同条2項)。
外國人受有期徒刑以上刑之宣告者,得於刑之執行完畢或赦免後,驅逐出境。(刑法第95條)
〔非公式要約〕有期徒刑以上の刑を宣告された外国人は、刑の執行を終えた後または赦免後に国外退去させることができます(刑法95条)。
事件が終わる前に、移民署に強制退去させられることはありますか?
強制退去や出国命令を受けることはあり得ます。ただし、法に基づき羈押(勾留)、拘提、管收または出国制限を受けている場合は除かれます。36条1項・2項の退去事由がある外国人について、その刑事事件が司法手続きに入っている場合、移民署は強制退去の10日前までに司法機関へ通知しなければなりません。そのうえで、羈押、拘提、管收または出国制限を受けている場合を除き、強制退去させるか出国を命じることができます(入出國及移民法36条3項)。
すでに強制退去の処分を受けていても、司法機関から法律にもとづく出国制限の通知があれば、執行を見合わせることができます(外國人強制驅逐出國處理辦法(外国人強制退去処理規則)9条1項5号)。
移民署於知悉前二項外國人涉有刑事案件已進入司法程序者,於強制驅逐出國十日前,應通知司法機關。該等外國人除經依法羈押、拘提、管收或限制出國者外,移民署得強制驅逐出國或限令出國。(入出國及移民法第36條第3項)
〔非公式要約〕退去事由のある外国人の刑事事件が司法手続に入っていると知ったとき、移民署は退去の10日前までに司法機関へ通知し、羈押や出国制限などがない限り強制退去や出国命令ができます(入出國及移民法36条3項)。
出国制限を受けている間に居留期限が近づいたら、どうすればよいですか?
期限前に延長を申請してください。居留の理由がなくなっていても、出国禁止を理由に引き続き居留が認められることがあります。居留期限が切れた後も居留する必要があるときは、期限が来る前に移民署へ延長を申請しなければなりません(入出國及移民法31条1項)。居留の理由がなくなっても、21条1項で出国を禁止されている人は、引き続き居留が認められることがあります(31条4項8号)。
司法機関から出国制限(刑事手続き上の出境制限)の通知を受けた人について、移民署は出国を禁止し、出国審査の際にその場で書面を渡して理由を告げます(21条)。移民署の案内によると、外国人は本人または委任を受けた人が、各県市にある移民署の服務站(窓口)で、出国禁止を受けているかどうかを無料で照会できます。居留の延長は、居留期限が切れる前の3か月以内に申請しなければならず(外國人停留居留及永久居留辦法(外国人の停留、居留及び永久居留に関する規則)9条1項)、当初の居留目的と違う理由で延長する場合の必要書類の例として「司法機関の関連証明書類」が挙げられています。延長を申請した時点で入出國及移民法24条1項各号のいずれかに当たる場合、移民署は許可しないことができます(同辦法17条1項)。出国制限の期間や、制限の解除を求める方法は、出国・出海を制限されたら:期間の上限、通知、解除を求める方法で説明しています。
移民署が退去させる前に、どんな手続き上の権利がありますか?
意見を述べる機会があり、居留や永久居留の許可を持つ人については、原則として審査会も開かれます。強制退去の前には意見を述べる機会を与えなければならず、居留や永久居留の許可を持つ外国人については審査会も開かなければなりません。ただし、書面で意見陳述を放棄した場合や、裁判所が驅逐出境をあわせて言い渡し確定した場合など、法律で定められた場合は審査会を開かないことがあります(入出國及移民法36条4項)。
本人は弁護士と通訳に立ち会ってもらうことができますが、法律で定められた場合は制限や禁止を受けることがあります(36条5項)。弁護士は3人まで、弁護士や通訳の到着を待つ時間はそれぞれ4時間までです(外國人強制驅逐出國處理辦法4条)。審査では、家族が一緒に暮らす権利(家庭團聚權)と未成年の子の最善の利益が考慮されます(同辦法7条2項)。処分書は本人が理解できる言語で作成し、不服申立ての方法を記載しなければなりません。また、本人の国籍国の駐華使領館(台湾にある大使館・領事館)や授權機構(その国から権限を与えられた機関)に連絡するか、本人が台湾で指定した親族・知人・弁護士に、遅くとも24時間以内に通知しなければなりません(同辦法8条)。
台湾を出た後、また入国できますか?
入国を禁止されることがあります。ただし条文は「できる」という規定で、移民署の裁量です。台湾または外国で犯罪歴がある人や、出国命令や国外退去を受けたことがある人について、移民署は入国を禁止することができます(入出國及移民法18条1項7号・11号)。後に居留を申請するときも、犯罪歴や退去歴は不許可の理由になり得ます(24条1項3号)。
移民署の案内によると、入国を禁止された人が「禁止外國人入國作業規定」の要件を満たす場合は、その人の配偶者(台湾人・外国人を問わない)や台湾人の親族が、禁止期間の半減・短縮や、入国禁止としないことを申請できます。挙げられている例は、台湾に戸籍のある国民と結婚して結婚登記を済ませ、その配偶者との間に実子がいる場合、台湾にいる配偶者が重い病気の場合、家庭内暴力を受けて判決で離婚し、台湾に戸籍のある未成年の子がいる場合などです。
居留期限と処分書の確認
居留に影響するかどうかは、刑の重さ、過失犯かどうか、執行猶予が付くかどうかで決まり、出国制限や退去の手続きと同時に進むこともあります。これらをまとめて検討し、最終的には移民署からの正式な通知で確認してください。在留資格の扱いは、日本の制度とは異なる点があります。このページは一般的な説明であり、個別の事件への法的助言ではありません。
