本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
呼出状に「証人」と書かれていれば、今の時点では、他人の事件について知っていることを話すために呼ばれている、ということです(台湾刑事訴訟法第175条)。法律に特別の定めがない限り、誰でも他人の事件で証言する義務があります(第176条の1)。正式な呼出しに正当な理由なく応じないと、過料を科されたり、拘提(強制的に身柄を連行する手続き)されたりすることがあります(第178条)。一方で、一定の親族関係にある場合や、証言すると自分や一定の親族が刑事訴追・処罰を受けるおそれがある場合は、証言を拒めます(第180・181条)。証人は原則として宣誓を求められます。裁判所の審理または検察官の捜査で、証言の前または後に宣誓し、事件に関わる重要な事項について故意に虚偽を述べると、偽証罪になるおそれがあります(刑事訴訟法第187条、刑法第168条)。なお、呼出状に「証人」とあっても、その後の捜査で立場が変わらないとは限りません。
証人としての呼出しと、被告としての呼出しはどう違う?
証人を呼び出すときは呼出状を使います。呼出状には、氏名・性別・住所または居所、証言してほしい事項、出頭する日時と場所、正当な理由なく来なかった場合に過料や拘提があることが書かれています(刑事訴訟法第175条第1・2項)。
呼出状の立場欄が「証人」であれば、検察官や裁判所は、他人の事件について見聞きしたことを聞くためにあなたを呼んでいます。被告(台湾では起訴前の捜査対象者も含みます)として呼ばれる場合とは、法律上の立場が違います。ただし、これはあくまで呼出状に書かれた現時点の立場であり、捜査が進むうちに被疑者・被告として扱われる可能性がないという意味ではありません。立場が変われば、被告としての手続き上の権利が問題になります。
必ず出頭しなければならない?
法律に特別の定めがない限り、誰でも他人の事件で証人になる義務があります(刑事訴訟法第176条の1)。呼出状には、捜査中なら検察官が、裁判中なら裁判長か受命裁判官が署名します。原則として出頭日の24時間前までに届けられますが、急を要する場合は例外です(第175条第3・4項)。
正式な呼出状を受け取ったら、原則として、書かれた日時と場所に出頭します。証人は日当と交通費(旅費)を請求することもできます(第175条第2項第5号)。
正当な理由なく行かなかったら、どうなる?
正式に呼び出された証人が正当な理由なく出頭しないと、3万台湾ドル以下の過料を科され、拘提されることもあります。もう一度呼び出されても来なかった場合も同じです(刑事訴訟法第178条第1項)。過料は裁判所が決定で科します。検察官が呼び出した場合は、検察官が管轄の裁判所に決定を求めます(第2項)。
過料の決定に対しては、抗告して不服を申し立てることができます(第178条第3項)。出頭できない正当な理由があるときは、呼出しを放っておかず、担当機関に事情を伝え、そのやり取りの記録を残しておいてください。なお、証人が亡くなった場合や、所在がわからず呼び出せない、または呼び出しても来ない場合には、その人が以前に警察などで話した内容が、法律の要件を満たせば証拠になることがあります。ただし憲法法庭(台湾の憲法裁判所)は112年憲判字第12号判決で、被告が法廷で対質・反対尋問をする機会のなかったそうした供述を、有罪と判断するための唯一の、または主要な証拠にしてはならないとしました。この判決は第159条の3第1号・第3号に範囲を限った合憲限定解釈です。正式に呼び出された証人が正当な理由なく出頭しない場合の第178条の過料・拘提の規定は、そのまま適用されます。個別の事件は、具体的な事実によって判断されます。
被告の家族なら、証言を拒める?
拒めます。被告や私人訴追人(台湾の「自訴」制度で、自ら訴えを起こした人)の配偶者、直系血族、3親等以内の傍系血族、2親等以内の姻族、家長・家族である人、またはかつてそうだった人は、証言を拒むことができます。被告・私人訴追人の婚約者、被告・私人訴追人の法定代理人である人やかつてそうだった人、被告・私人訴追人を法定代理人としている人やかつてそうだった人も同じです(刑事訴訟法第180条第1項)。
ただし、共同被告の一人とこうした関係にあっても、ほかの共同被告に関することだけを証言する場合は、拒めません(第180条第2項)。証人に質問する前に、こうした関係があるかどうかを確かめ、あれば証言を拒めることを伝えなければなりません(第185条)。
証言すると、自分や家族が罪に問われるおそれがあるときは?
證人恐因陳述致自己或與其有前條第一項關係之人受刑事追訴或處罰者,得拒絕證言。(刑事訴訟法第181條)
〔非公式要約〕証言によって自分または第180条第1項に定める関係者が刑事訴追・処罰を受けるおそれがある証人は、証言を拒むことができます(刑事訴訟法第181条の趣旨)。
この権利は、事実をありのままに話したせいで、自分や一定の親族が刑事訴追や処罰を受けることのないようにするためのものです。証言を拒むときは、原則としてその理由を疎明(一応の説明と裏付け)しなければなりませんが、第181条にあたる場合は、宣誓をもって疎明に代えることもできます(第183条第1項)。ただし、被告以外の人が反対尋問を受けるとき、主尋問で述べた被告本人に関する事項については、証言を拒めません(第181条の1)。
宣誓は何のためにする?
証人には原則として宣誓を求めます。ただし、16歳未満の人や、精神その他の障害のために宣誓の意味と効果を理解できない人には、宣誓をさせません(刑事訴訟法第186条第1項)。第181条によって証言を拒める場合は、そのことを伝えなければなりません(同条第2項)。
證人具結前,應告以具結之義務及偽證之處罰。對於不令具結之證人,應告以當據實陳述,不得匿、飾、增、減。(刑事訴訟法第187條)
〔非公式要約〕宣誓前には宣誓義務と偽証の処罰を告知します。宣誓させない証人にも、事実のままに述べ、隠し、飾り、増減してはならないことを告知します(刑事訴訟法第187条の趣旨)。
質問の前には、本人確認に加えて、被告や私人訴追人と第180条第1項に定める関係があるかどうかも調べます(第185条第1項)。宣誓は、証言が真実であることを担保するための手続きです。だからこそ、宣誓の義務と偽証の罰を前もって伝えることが、手続き上欠かせないのです。
嘘の証言をしたら、どうなる?
正当な理由なく宣誓や証言を拒んだ証人には、3万台湾ドル以下の過料が科されることがあります。第183条第1項ただし書により、理由の疎明に代えて宣誓したのに、その宣誓が虚偽だった場合も同じで、決定と抗告については第178条第2・3項が準用されます(刑事訴訟法第193条)。
於執行審判職務之公署審判時或於檢察官偵查時,證人、鑑定人、通譯於案情有重要關係之事項,供前或供後具結,而為虛偽陳述者,處七年以下有期徒刑。(中華民國刑法第168條)
〔非公式要約〕裁判または検察官の捜査において、証人・鑑定人・通訳人が事件にとって重要な事項について虚偽の供述をし、その供述の前または後に宣誓したときは、7年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)に処されます(台湾刑法第168条の趣旨)。
裁判所での審理や検察官の捜査において、証人が事件に重要な関係のある事項について、宣誓(具結)の前または後に虚偽の供述をすると、刑法第168条の偽証罪に問われることがあります。法定刑は7年以下の有期徒刑です。これは、正当な理由のない証言・宣誓の拒否に対する過料とは別の責任です。
証言拒否の理由と立場の確認
証人として呼ばれたのか被告として呼ばれたのかがはっきりしない、証言を拒める場合にあたるかどうか迷っている、宣誓や証言の義務に不安がある――こうした場合は、早めにご相談ください。質問の途中で、自分の立場が変わりそうだと感じたときも同じです。このページは法令の一般的な説明であり、個別の事件についての法的意見ではありません。
