本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
台湾刑法第277条第1項の通常の傷害罪は、原則として親告罪です。告訴できる人が犯人を知ったときから6か月以内に告訴しなければなりません。ただし、公務員が職務中に犯した場合は親告罪になりません。けがの結果、相手が亡くなったり重傷を負ったりした場合(第277条第2項)も親告罪ではありません。告訴は第一審の弁論が終わるまで取り下げられますが、一度取り下げると同じ事件で告訴し直すことはできません。私的な示談だけでは告訴は自動的に取り下げられません。通常は別の取下げ手続きが必要ですが、裁判所の承認を受けた鄉鎮市の調解が法定条件を満たす場合は例外です。
傷害罪の刑罰はどのくらいですか?
刑法第277条は、人の身体や健康を傷つけた者に、5年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)、拘役(短期の自由刑)または50万台湾ドル以下の罰金を科すと定めています。けがが原因で相手が亡くなった場合は無期徒刑または7年以上の有期徒刑、重傷を負った場合は3年以上10年以下の有期徒刑です。
故意に重傷を負わせた場合は、より重い第278条が適用され、5年以上12年以下の有期徒刑となります。未遂でも処罰され、相手が亡くなった場合は無期徒刑または10年以上の有期徒刑です。第278条では、重傷を負わせる直接故意または間接故意が必要です。これに対し、第277条第2項は傷害の故意で行動した結果、重傷や死亡が生じた場合の規定ですが、第17条により、その加重結果を予見できなかった場合には適用されません。重傷の定義、故意の内容、結果を予見できたかを証拠に基づいて判断します。
傷害罪は、告訴がなければ起訴されないのですか?
罪名によって異なります。刑法第287条により、第277条第1項の通常の傷害罪は親告罪とされています。適法な告訴がなければ、検察官は原則として起訴しません。
例外もあります。公務員が職務中に第277条第1項の罪を犯した場合は、親告罪になりません。また、けがの結果、相手が亡くなったり重傷を負ったりした場合(第277条第2項)は第287条の対象に含まれていないため、親告罪ではありません。
告訴期間はどのくらいで、いつから数えますか?
告訴期間は6か月です。告訴できる人が犯人を知ったときから数えます(刑事訴訟法第237条第1項)。
告訴できる人が複数いる場合、そのうち一人が期間を過ぎても、他の人には影響しません(第237条第2項)。6か月の期間は一人ひとり別々に進むので、誰かが期限を過ぎても、ほかの人は自分の告訴期間内であれば告訴できます。
告訴乃論之罪,其告訴應自得為告訴之人知悉犯人之時起,於六個月內為之。得為告訴之人有數人,其一人遲誤期間者,其效力不及於他人。(刑事訴訟法第237條)
〔非公式要約〕親告罪の告訴は、告訴をすることができる者が犯人を知った時から6か月以内にしなければならない。告訴をすることができる者が複数いるときは、そのうち一人が期間を過ぎても、その効力は他の者に及ばない。(刑事訴訟法第237条)
一度した告訴を取り下げることはできますか?
できます。親告罪では、第一審の弁論が終わる前であれば、告訴人は告訴を取り下げられます(刑事訴訟法第238条第1項)。
ただし、取り下げた後に同じ事件で改めて告訴することはできません(第238条第2項)。取下げは一度きりで、やり直しのきかない判断です。金額や条件がすべて整ったかを見極めてから決めてください。
告訴乃論之罪,告訴人於第一審辯論終結前,得撤回其告訴。撤回告訴之人,不得再行告訴。(刑事訴訟法第238條)
〔非公式要約〕親告罪の告訴は、告訴人が第一審の弁論終結前に限り取り下げることができる。告訴を取り下げた者は、再び告訴することができない。(刑事訴訟法第238条)
示談が成立すれば、告訴も取り下げたことになりますか?
当事者どうしの私的な示談は、賠償額や支払方法、今後の行動について取り決める民事上の合意です。それだけで告訴が取り下げられるわけではなく、通常は告訴人が別に検察官か裁判所へ書面を出すか、口頭で取下げを伝えます。
私的な示談では、告訴人がいつ取下げの手続きをするかを示談書に記載することがあります。その約束だけで、手続き上も告訴が取り下げられたことにはなりません。ただし、鄉鎮市の調解(自治体の調停)には例外があります。親告罪の事件で、捜査中または第一審の弁論終結前に調解が成立し、当事者が告訴等の取下げに同意する旨を調解書に記載して裁判所の承認を受けた場合は、調解成立時に告訴または自訴を取り下げたものとみなされます(鄉鎮市調解条例第28条第2項)。
示談書に署名する前に、何を確認すればよいですか?
示談では、お金の支払いと告訴権の扱いを決めることになります。他人のひな型をそのまま使わず、署名の前に次の点を一つずつ確かめてください。
- 賠償額、支払方法、支払期限がはっきり書かれているか。一括か分割か、分割なら支払いが遅れたり止まったりしたときにどうするか。
- 告訴人が告訴を取り下げること、その手続きに協力する時期と方法が明記されているか。
- 民事の賠償請求もまとめて解決するのか、今後の請求を放棄するのか。後から二重に請求されたり、争いが蒸し返されたりするのを防ぐためです。
- 署名するのが本人か。未成年者や、後見・補助の宣告を受けた人が当事者なら、法定代理人や補助人が関わっているか。
- 守秘義務や公表禁止の条項が行き過ぎていないか。後で事情を説明したり、自分の言い分を述べたりする権利を不当に縛っていないか。
- 相手が約束どおりに告訴を取り下げない場合や、賠償金を払わない場合にどう対処するかが決まっているか。
告訴期限と示談条件の確認
警察の事情聴取や検察の取調べの通知が届いたとき、告訴するか取り下げるかで迷っているとき、示談金や示談の条件を交渉しているときは、署名したり取下げの意思を示したりする前にご相談ください。
この記事は一般的な説明で、個別の事件についての法的意見ではありません。
