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薬物事件:使用・所持で問われる罪と、治療を条件とする緩起訴

薬物の使用と所持では、級別、量、過去の処分によって適用される法律や手続きが異なります。治療を条件とする緩起訴には、本人の同意や医療機関の意見などの要件があります。

更新日 2026-10-26

本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。

要点

薬物を使用・所持したときの刑事責任は、薬物の級別と量によって変わります(毒品危害防制條例第10・11条)。検察官は緩起訴(日本の起訴猶予に近い台湾の処分。ただし猶予期間を定め、守るべき条件を付けられる点が異なります)をするとき、依存症治療などを受けるよう命じることができます(刑事訴訟法第253条の2)。治療を条件に緩起訴をする前には、医療機関の意見を聴かなければなりません(毒品危害防制條例第24条)。

薬物を使用すると、どんな刑になりますか?

第1級薬物を使用した場合は6か月以上5年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)、第2級薬物の場合は3年以下の有期徒刑です(毒品危害防制條例第10条)。

この条文が使用を罰しているのは、第1・2級の薬物だけです。第1級の使用には6か月という特別の下限があります。第2級の使用は3年以下の有期徒刑で、下限には原則として刑法第33条の2か月が適用されます。なお、使用を繰り返した場合について、最高法院(台湾の最高裁)の刑事大法廷は109年度台上大字第3826号裁定で、直近の観察・勒戒(施設での観察と薬物断ち)または強制戒治を終えて釈放されてから3年を超えて再び使用したときは、その間に使用の罪で起訴・判決・刑の執行を受けていたかどうかにかかわらず、第20条第1・2項の観察・勒戒または強制戒治の手続きが適用されると判断しています。この裁定は、2020年1月15日に改正公布され同年7月15日に施行された第20条第3項を解釈したものです。現行第20条第3項も、観察・勒戒または強制戒治の終了・釈放から3年後に第10条の使用罪を再び犯した場合に、第1・2項の手続きを適用すると定めています。直近の処分の種類と釈放日を確認する必要があります。実際の扱いは、個別の事実によって判断されます。

施用第一級毒品者,處六月以上五年以下有期徒刑。施用第二級毒品者,處三年以下有期徒刑。(毒品危害防制條例第10條)

〔非公式要約〕毒品危害防制條例第10条は、第1級薬物の使用を6か月以上5年以下、第2級薬物の使用を3年以下の有期徒刑と定めます。

所持の刑罰は、薬物の級別と量でどう変わりますか?

第1級薬物を所持していた場合は3年以下の有期徒刑、拘役(短期の自由刑)または30万台湾ドル以下の罰金、第2級薬物の場合は2年以下の有期徒刑、拘役または20万台湾ドル以下の罰金です(第11条第1・2項)。

純度で換算した正味の重さ(純質正味重量)が一定の基準に達すると、より重い刑の範囲が適用されます。量が多いほど刑も重くなる仕組みです。

薬物の級別第11条による所持の刑罰
第1級3年以下の有期徒刑、拘役または30万台湾ドル以下の罰金。純質正味重量が10グラム以上になると1年以上7年以下の有期徒刑となり、100万台湾ドル以下の罰金を併せて科されることがあります。
第2級2年以下の有期徒刑、拘役または20万台湾ドル以下の罰金。純質正味重量が20グラム以上になると6か月以上5年以下の有期徒刑となり、70万台湾ドル以下の罰金を併せて科されることがあります。
第3級純質正味重量が5グラム以上なら2年以下の有期徒刑で、20万台湾ドル以下の罰金を併せて科されることがあります。それに満たない場合は第11条の刑罰の対象外ですが、正当な理由なく所持・使用すれば、第11条の1第2項により1万~5万台湾ドルの過料と、4~8時間の薬物被害講習の受講が課されます。少年が使用した場合は少年事件処理法で扱われます。
第4級純質正味重量が5グラム以上なら1年以下の有期徒刑で、10万台湾ドル以下の罰金を併せて科されることがあります。それに満たない場合は第11条の刑罰の対象外ですが、正当な理由なく所持・使用すれば、第11条の1第2項により1万~5万台湾ドルの過料と、4~8時間の薬物被害講習の受講が課されます。少年が使用した場合は少年事件処理法で扱われます。

第1・2級薬物の製造や使用にしか使えない器具を持っていた場合も、1年以下の有期徒刑、拘役または10万台湾ドル以下の罰金です(第11条第7項)。また、最高法院刑事大法廷の109年度台上大字第4861号裁定は、利益を得る目的で薬物を買い入れ、まだ買い手を探す前に警察に見つかった場合は、販売に着手したとまではいえず、「販売目的での所持」の罪(意圖販賣而持有毒品罪)にあたると判断しました。これは、この節で説明している単なる所持とは別の罪です。裁定の理由によれば、特定できる買い手と交渉したうえで買い入れた場合や、不特定の人に売り込んだ後で買い入れた場合などは、すでに販売に着手したと評価されることもあり、行為全体を見て判断されます。個別の事件は、具体的な事実によって判断されます。

依存症治療を条件にした緩起訴とは?

検察官は緩起訴をするとき、本人に、一定の期間内に依存症治療、精神科の治療、心理療法、カウンセリングや心理的な支援、その他の適切な処遇を終えるよう命じることができます(刑事訴訟法第253条の2第1項第6号)。

治療など同条第1項第3~6号の条件を課すには、本人の同意が必要です。第6号の条件を付けて緩起訴をする前には、検察官は医療機関の意見を聴かなければならず、必要があれば他の関係機関の意見を聴くこともできます(毒品危害防制條例第24条第3項)。

六、完成戒癮治療、精神治療、心理治療、心理諮商、心理輔導或其他適當之處遇措施。(刑事訴訟法第253條之2第1項第6款)

〔非公式要約〕刑事訴訟法第253条の2第1項第6号は、依存症・精神・心理の治療、相談やその他適切な処遇の完了を、緩起訴の条件として定めます。

緩起訴になるのは、どんな場合ですか?

まず、問われている罪が、死刑・無期徒刑にあたる罪や、刑の下限が3年以上の有期徒刑である罪ではないことが前提です。そのうえで検察官が、刑法第57条に挙げられた事情と公益を考え合わせて相当と判断した場合に、緩起訴にできます。猶予期間は1年以上3年以下です(刑事訴訟法第253条の1第1項)。

検察官が先に刑事訴訟法第253条の1第1項と第253条の2第1項第4~6・8号に基づいて条件付きの緩起訴をした場合や、少年法院(地方法院の少年法廷)が少年事件處理法の手続きで扱うのが適当と判断した場合は、毒品危害防制條例第20条第1項の観察・勒戒の手続きも、第23条第2項(観察・勒戒などを終えて釈放されてから3年以内にまた使用した場合は、法に従って起訴するという規定)も適用されません。その緩起訴が取り消されたときは、検察官は捜査を続けるか、起訴しなければなりません(同条例第24条第1・2項)。

事件はどんな流れで進みますか?

薬物事件の多くは、警察の事情聴取や検察の捜査から始まります。検挙されたり、出頭の通知を受けたりしたら、事情聴取や取調べの場でどんな権利があるのかを、まず確認してください。

出頭前の準備や取調べの流れは、「警察への出頭通知を受けた場合」「検察から呼出状を受けた場合」の解説で詳しく説明しています。採尿には、刑事訴訟法第205条の2から第205条の4が定める手続きがあります。拘提・逮捕された被告や被疑者について、尿が犯罪の証拠になると考える相当な理由と鑑定の必要があれば、検察事務官や警察は検察官の許可を得て、本人の意思に反して非侵入的な方法で採尿できます。直ちに採らなければ証拠を有効に保全できない緊急の場合は、先に採尿することもできますが、24時間以内に検察官の許可を求めなければなりません。検察官が許可すべきでないと認めた場合は、3日以内に取り消します。緊急の採尿に不服がある本人は、採尿から10日以内に管轄裁判所へ取消しを申し立てられます。裁判所は、採尿が終わっているという理由だけでは却下できません。この申立てに対する裁定には抗告できません。

処分歴と治療資料の整理

警察や検察から通知が届いたとき、緩起訴の条件について検察官と話し合っているとき、依存症治療に関する書類を用意する必要があるときは、一度ご相談ください。

このページは法定刑と手続きについての一般的な説明です。治療や服薬についての助言ではなく、個別の事件についての法的意見でもありません。

通知が届いた方、緩起訴の条件を話し合っている方へ。

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