本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
告訴がなければ起訴できない犯罪(親告罪。台湾では「告訴乃論」といいます)に当たるかどうかは、罪ごとの規定で決まります。親告罪では、告訴できる人が犯人を知った時から6か月以内に告訴しなければなりません(台湾刑事訴訟法第237条)。告訴は、検察官か司法警察官に対して、書面でも口頭でもできます(第242条)。告訴は第一審の弁論が終わるまで取り下げられますが、いったん取り下げると、同じ事件でもう一度告訴することはできません(第238条)。不起訴や緩起訴(一定期間、起訴を猶予する台湾の制度)の処分に納得できない告訴人は、原則として10日以内に再議を申し立てられます(第256条)。
親告罪とそうでない犯罪は、何が違う?
親告罪は、被害者など告訴できる人から適法な告訴がなければ起訴できない犯罪です。期間内に告訴しなかったり、手続きの途中で告訴を取り下げたりすると、もう起訴はできません。親告罪でない犯罪は、検察官が犯罪の疑いを知れば、告訴がなくても自ら捜査しなければなりません。どの罪が親告罪かは条文ごとに決まっていて、一律ではありません。たとえば台湾刑法第287条は、第277条第1項の傷害罪と第284条の過失傷害罪を親告罪としています(公務員が職務中に第277条第1項の罪を犯した場合は除きます)。公然侮辱罪と名誉毀損罪も、第314条により親告罪です。それ以外の罪は、事件ごとに確認してください。
告訴できるのは誰?「告発」とは何が違う?
告訴できるのは、まず犯罪の被害者本人です(刑事訴訟法第232条)。被害者の法定代理人や配偶者も、独自に告訴できます。被害者が亡くなっている場合は、配偶者、直系血族、3親等以内の傍系血族、2親等以内の姻族、家長・家族が告訴できます(第233条)。ただし親告罪では、被害者が生前にはっきり示していた意思に反する告訴はできません。
告訴は、このように法律で決められた人だけができるものです。これに対して、犯罪の疑いを知った人なら誰でも、検察官か司法警察官に告発できます(第240条)。公務員は、仕事の中で犯罪の疑いを知ったときは告発しなければなりません(第241条)。親告罪でない犯罪なら、告訴権のない第三者も、告発によって検察官に捜査を促すことができます。
告訴期間はどのくらい? いつから数える?
親告罪の告訴は、告訴できる人が犯人を知った時から6か月以内にしなければなりません(第237条第1項)。「犯人を知った」とは、被害にあったと気づいたことではなく、誰がやったのかを知ったことを指します。この二つの日付がずれることもあります。期間を過ぎると、その人は告訴権を失い、後から取り戻すことはできません。ただし、告訴できる人が複数いる場合は、一人が期間を過ぎても、ほかの人の告訴権には影響しません(同条第2項)。期限が近いときは、いつ犯人を知ったのかを資料で確かめておいてください。
告訴乃論之罪,其告訴應自得為告訴之人知悉犯人之時起,於六個月內為之。得為告訴之人有數人,其一人遲誤期間者,其效力不及於他人。(刑事訴訟法第237條)
〔非公式要約〕親告罪は、告訴権者が犯人を知った時から6か月以内に告訴し、一人の期限徒過は他の告訴権者に及びません。
告訴はどこに、どうやって出す?
告訴は、検察官か司法警察官に対して、書面(告訴状)か口頭で行います。口頭の場合は調書が作られます(第242条第1項)。窓口は、管轄の警察(分局)でも地方検察署でもかまいません。警察で受け付けた事件は、検察官に送られて捜査されます。出来事の日時と場所、相手の行為、関係者、証拠を整理し、確かな事実と推測を分けて伝えるようにしましょう。
捜査の途中で、事件の全部または一部が親告罪に当たるのにまだ告訴がないと分かった場合は、被害者などが出頭して話をする際に、告訴するかどうかを尋ねて調書に残すことになっています(第242条第2項)。
告訴した後はどうなる?
告訴すると事件は捜査に入り、警察から事情を聴かれたり、検察官から関係者が呼び出されたりします。捜査の結果、起訴、不起訴、緩起訴のいずれかの処分が出ます。訴えられた側の手続きについては、警察の出頭通知と検察の呼出状のページで説明しています。告訴したからといって、特定の結果になるとは限りません。
不起訴に納得できないときは?
告訴人は、不起訴や緩起訴の処分書を受け取ってから10日以内に、不服の理由を書いた書面を出して、再議を申し立てることができます。再議は、上級の検察署に処分の見直しを求める台湾の手続きで、日本の検察審査会とは違い、検察の内部で見直されます。書面は処分をした検察官を通して、直近上級の検察署の検察長か検察総長に宛てて出します(第256条第1項)。ただし、第253条による職権での不起訴(日本の起訴猶予に近いもの)や、第253条の1による緩起訴に告訴人自身が同意していた場合は、再議を申し立てられません。再議の期間と申立て先の検察署は、告訴人に送られてくる処分書の正本に書かれています(同条第2項)。
告訴は取り下げられる?
親告罪であれば、告訴人は第一審の弁論が終わるまで告訴を取り下げることができます(第238条第1項)。ただし、一度取り下げると、同じ事件でもう一度告訴することはできません(同条第2項)。示談にあわせて取り下げる場合も、この効果をよく理解したうえで決めてください。
告訴状・証拠・期限の整理
親告罪に当たるのか分からないとき、告訴期間が迫っているとき、告訴状を用意したいとき、不起訴への再議や告訴の取下げで迷っているときは、動く前にご相談ください。このページは法令の一般的な説明で、個別の事件についての法的意見ではなく、告訴すれば特定の結果になると約束するものでもありません。
