本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
台湾の少年事件処理法でいう「少年」は、12歳以上18歳未満の人です(第2条)。少年法院(少年事件を専門に扱う裁判所)は、刑罰法令に触れる行為をした事件と、健全な成長を守る必要がある一定のリスク(曝険。日本の「虞犯」に近い考え方)のある事件を扱います(第3条)。少年に事情を聴くときは、原則として法定代理人などに同席するよう通知し、調査と審理は非公開で行われます。ただし、裁判所の許可があれば、親族などが傍聴できることもあります(第3条の1、第34条)。保護者は審理で意見を述べることができ、いつでも補佐人を選任できます(第31条・第32条・第36条)。一定の場合には事件が検察官に送られ(第27条)、保護処分をする場合は、第42条の種類の中から裁判所が決めます。
少年事件として扱われるのは、何歳の子どもの、どんな事件ですか?
法律上の少年は、12歳以上18歳未満の人です(第2条)。日本の少年法とは対象年齢が異なるので、お子さんの行為時の年齢を資料で確認してください。
少年法院が扱うのは、刑罰法令に触れる行為をした事件のほか、法律が挙げる一定の状況があって、健全な成長を守る必要がある事件です。一定の状況とは、正当な理由なく危険な器具をいつも持ち歩いている、刑罰法令にはまだ触れない形で薬物や幻覚性物質を使っている、処罰されない犯罪の準備や未遂をした、などです(第3条第1項)。その必要があるかどうかは、少年の性格や育った環境、よく付き合う相手や参加している集団、出入りする場所、生活リズム、家庭の状況、学校や仕事の状況などを総合して判断します(同条第2項)。
本法稱少年者,謂十二歲以上十八歲未滿之人。(少年事件處理法第2條)
〔非公式要約〕少年事件処理法でいう「少年」は、12歳以上18歳未満の人です(第2条の趣旨)。
警察や学校が事件を知ったとき、保護者に連絡は来ますか?
少年が刑罰法令に触れる行為をしたと知った人は、誰でも管轄の少年法院に報告できます(第17条)。司法警察官、検察官、裁判所が職務の中でそれを知ったときは、少年法院に送らなければなりません。前に述べた一定のリスクを知った場合は、少年の住所などを管轄する少年輔導委員会に通知できます。学校や少年を監督する立場の人も、この委員会に通知できます(第18条)。
少年に事情を聴いたり尋問したりするときは、原則として、法定代理人、現在少年を保護している人、そのほか適当な人に同席するよう通知しなければなりません。ただし、きちんと通知を受けたのに正当な理由なく来ない場合や、急を要する場合は例外です(第3条の1第1項)。また、警察が少年に事情を聴く、同行させる(呼び出さずにその場で同行させる場合を含みます)、逮捕する、または身柄を受け取るときは、関係する事実と法令、黙秘できること、補佐人を選任できること、有利な証拠を調べるよう求められることを、少年と法定代理人などにすぐに告げなければなりません(第3条の2第1項、第18条の1第4項)。
調査や審理は、公開されますか?
調査と審理は公開されません。ただし、少年法院は、親族、学校の先生、少年の保護に携わる人、そのほか適当と認める人に傍聴を認め、必要があれば意見を聞くことができます(第34条)。非公開なのは少年のプライバシーと成長を守るためで、保護者や補佐人が手続きから締め出されるという意味ではありません。
調查及審理不公開。但少年法院得許少年之親屬、學校教師、從事少年保護事業之人或其他認為相當之人在場旁聽;必要時得聽取其意見。(少年事件處理法第34條)
〔非公式要約〕少年保護事件の調査と審理は非公開ですが、少年法院は親族や教師等の傍聴を認め、必要に応じて意見を聞けます(少年事件処理法第34条の趣旨)。
保護者は、手続きの中で何ができますか?
審理の期日には、少年と、法定代理人または現在少年を保護している人が呼び出され、補佐人にも通知されます(第32条第1項)。少年を尋問するときは、法定代理人などと補佐人に意見を述べる機会を与えなければなりません(第36条)。保護者は、結果を待つだけでなく、期日に出席して意見を述べることができます。
少年本人、法定代理人、現在少年を保護している人は、いつでも補佐人(日本の少年審判でいう付添人に近い立場)を選任できます。弁護士以外の人を選ぶ場合は、少年法院の同意が必要です(第31条第1項、第31条の1)。法定刑の下限が3年以上の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)の罪で補佐人が選任されていなければ、少年法院が適当な人を補佐人に指定します。そのほかの事件でも、必要と認めれば同じです(第31条第2項)。なお、憲法法廷の115年憲判字第3号判決(2026年)は、事件を移された少年法院が、それをほかの少年法院へ再び移すことを一律に禁じた規定について、少年にとってより適切な保護につながる場合まで禁じている範囲で違憲としました。法改正までは、事件を移された少年法院が調べたうえで、管轄のあるほかの少年法院のほうが少年をより適切に保護できると判断すれば、再び移す決定ができます。この決定に不服があれば、少年、法定代理人、現在少年を保護している人、補佐人は抗告できます。この判決は少年保護事件についてのもので、刑事訴訟の手続きそのものを扱ったものではありません。現行の少年事件処理法第15条にも、この判決に従った扱いが適用されます。判決は、公告の日から2年以内に法改正を行うよう求めています。
どんな場合に、事件が検察官へ送られますか?
日本の「逆送」に似た仕組みですが、要件は同じではありません。少年法院が調査の結果、少年に犯罪行為があり、それが法定刑の下限5年以上の有期徒刑の罪に当たる場合や、事件が係属した後に少年が20歳になった場合は、検察官に送らなければなりません。それ以外でも、犯罪の情状が重大で、少年の品行・性格・経歴などから刑事処分がふさわしいと判断した場合は、検察官に送ることができます(第27条第1項・第2項)。ただし、犯罪の時に14歳未満だった少年には、これらの規定は適用されません(第3項)。
少年の保護処分には、どんな種類がありますか?
審理をしない決定や、保護処分をしない決定をする場合を除き、少年法院は次のどれかを言い渡します。訓戒(必要に応じて休日の生活指導を付ける)、保護管束(保護観察。必要に応じて労働奉仕を命じる)、適切な福祉・教育・医療施設や移行教育の場などへの委託、感化教育施設での感化教育(日本の少年院送致に近いもの)です(第42条第1項)。
薬物や幻覚性物質への依存、過度の飲酒の習慣がある場合には禁戒(依存から抜け出すための処置)を、身体や精神などに明らかな障害がある場合には治療を、保護処分の前か同時に命じることもできます(同条第2項)。どの処分になるかは、個別の事実によって決まります。
少年法院審理事件,除為前二條處置者外,應對少年以裁定諭知下列之保護處分:一、訓誡,並得予以假日生活輔導。二、交付保護管束並得命為勞動服務。三、交付安置於適當之福利、教養機構、醫療機構、執行過渡性教育措施或其他適當措施之處所輔導。四、令入感化教育處所施以感化教育。(少年事件處理法第42條第1項)
〔非公式要約〕審理をしない、または保護処分をしない場合を除き、少年法院は第42条第1項に掲げる保護処分を裁定します(少年事件処理法第42条第1項の趣旨)。
保護者の出席と補佐人の選任
お子さんに少年法院から通知が届いたとき、調査や審理の期日が決まったとき、検察官への送致が問題になりそうなときは、保護者としてどう関われるか、お子さんにどんな権利があるかを早めに確認しましょう。保護者には期日に出席して意見を述べる権利があり、早めに補佐人を選んでおくと、手続きの流れもつかみやすくなります。結果は、事件ごとの事実と証拠によって決まります。このページは一般的な情報の提供であり、個別の事件への法的意見ではありません。
