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台湾の脅迫罪と恐喝罪:どこからが犯罪か、職場の口論はどうなるか

生命や身体などへの危害を告げて安全を脅かす行為は脅迫罪、脅して財物を交付させる行為は恐喝罪が問題になります。職場の言い争いも、発言の内容と状況に即して判断されます。

更新日 2026-10-26

本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。

要点

台湾刑法の「恐嚇」の罪は、主に二つあります。日本の脅迫罪・恐喝罪と名前は似ていても、要件まで同じとは限りません。第305条の恐嚇危害安全罪(日本の脅迫罪に近いもの)は、生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると脅して、相手の安全を脅かす行為を処罰します。第346条の恐嚇取財罪(恐喝罪)は、自分や第三者のものにする不法な意図で相手を脅し、財物を渡させたり、不法な財産上の利益を得たりする行為を処罰し、未遂も処罰されます。どちらも、被害者の告訴がなくても検察官が捜査・起訴できる罪です。職場で感情的に言った言葉が犯罪になるかどうかは、具体的な内容と状況によって決まります。このページは個別のトラブルについて判断するものではありません。

恐嚇危害安全罪(脅迫罪)とは、どんな罪ですか?

相手の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げて脅し、相手の安全を脅かすと、この罪が成立します。刑は2年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)、拘役または9,000台湾ドル以下の罰金です(刑法第305条)。成立には、脅しの内容がこれらに害を加えるというものであることに加えて、実際に相手の安全が脅かされたことも必要です。不快なことを言われただけで、ただちに犯罪になるわけではありません。

第305条には、未遂を処罰する規定はありません。要件を満たすかどうかは、発言の内容、その前後の状況、客観的な事実をあわせて判断されます。

以加害生命、身體、自由、名譽、財產之事恐嚇他人,致生危害於安全者,處二年以下有期徒刑、拘役或九千元以下罰金。(刑法第305條)

〔非公式要約〕第305条は、生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えるとの脅迫により、相手の安全に危害を生じさせる行為を対象とします。

恐嚇取財罪(恐喝罪)とは何ですか?脅迫罪とはどこが違いますか?

第346条第1項は、自分または第三者のものにする不法な意図で相手を脅し、本人や第三者の財物を渡させる行為を処罰します。法定刑は6か月以上5年以下の有期徒刑で、3万台湾ドル以下の罰金が併せて科されることもあります。同条第2項は、同じ方法で自分や第三者が不法な財産上の利益を得る行為も対象にしています。

第305条の罪が守っているのは、おびえずに暮らせるという身の安全です。財物を渡させることは要件ではありません。これに対して第346条の罪は財産に対する犯罪で、不法に自分のものにする意図が必要です。既遂になるには、実際に財物を渡させたか、不法な財産上の利益を得たことが必要で、未遂も処罰されます。法定刑もこちらのほうが重くなっています。

意圖為自己或第三人不法之所有,以恐嚇使人將本人或第三人之物交付者,處六月以上五年以下有期徒刑,得併科三萬元以下罰金。以前項方法得財產上不法之利益或使第三人得之者,亦同。(刑法第346條第1項、第2項)

〔非公式要約〕第346条は、必要な意図をもって脅迫により財物または不法な財産上の利益を得る行為を対象とし、未遂も処罰します。

恐喝が未遂に終わっても、処罰されますか?

はい。第346条第3項は、第1項と第2項の未遂を処罰すると明記しています。脅し始めたものの、財物や利益を得られなかった場合でも、恐喝未遂罪が成立し得ます。

一方、第305条には、未遂を処罰する規定はありません。

被害者が告訴しなければ、罪に問われないのですか?

いいえ。どちらの罪も、告訴がなくても罪に問われます。第305条が置かれている章(自由を妨げる罪)で、第308条が親告罪としているのは第298条(略取・誘拐の罪)と第306条(住居侵入罪)だけです。第346条が置かれている章(恐喝および身代金目的の略取の罪)にも、親告罪とする規定はありません。そのため、被害者が告訴しなくても、検察官は捜査して起訴することができます。

この点は通常の傷害罪と違います。刑法第287条は、第277条第1項の傷害罪を原則として親告罪としています。ただし、公務員が職務の執行中に第277条第1項の罪を犯した場合は例外です。親告罪の告訴期間は、刑事訴訟法第237条により、原則として犯人を知った時から6か月です。脅迫罪と恐喝罪(第305条・第346条)は親告罪ではないので、この6か月の制限はありません。ただし、刑法第80条の公訴時効(台湾でいう「追訴権時効」)の制限は受けます。

職場での口論が脅迫罪になるのは、どんな場合ですか?

上司や同僚からきつい言葉を言われても、すべてが脅迫罪になるわけではありません。生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げて相手の安全を脅かすものか、恐喝であればそれに加えて不法な意図や財物の交付があるかを、全体の状況から判断します。

上司の評価のしかたや職場の人間関係全体が問題になっている場合は、職場いじめについてのページや職場のいじめは刑事事件になりますか?もご覧ください。このページでは、脅迫・恐喝の罪そのものの要件だけを扱っています。

公然侮辱や名誉毀損とは、どう違うのですか?

脅迫に関する罪で問題になるのは、害を告げて相手を怖がらせ、安全を脅かすことや、脅して財物を得ることです。公然侮辱や名誉毀損は、社会的な評価としての名誉を傷つけることを問題にします。守ろうとする利益も成立要件も異なりますが、一つの出来事で両方が問題になることもあります。

刑法第314条により、名誉・信用を害する罪の章にある犯罪は親告罪で、刑事訴訟法第237条の6か月の告訴期間が適用されます。前に述べたとおり、脅迫罪と恐喝罪は親告罪ではありません。名誉に関する具体的なルールは、公然侮辱と名誉毀損のページで説明しています。

発言の内容と前後の記録

具体的に危害を加えると言われたとき、金品を渡すよう求められたとき、ある会話やメッセージが脅迫罪に当たるのか分からないときは、早めにご相談ください。判断の材料になるので、やり取りの記録と出来事の経緯を時系列で残しておきましょう。

このページは一般的な情報の提供であり、個別の事件への法的意見ではありません。

具体的に脅された方、金品を要求された方は、まず事実を整理し、脅迫罪に当たるかどうかを確かめましょう。

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