本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
中華民国(台湾)の国籍を持たない人でも、台湾に合法的に住んでいる、自分の責任ではない理由で居留資格を失った、人身取引の被害を受けた(またはその疑いがある)など、法律扶助法14条1項のいずれかに当たれば、法律扶助(弁護士費用などを援助する制度。日本の法テラスに近い仕組みです)を利用できます。就業服務法(就業サービス法)46条1項8号から10号に基づいて受け入れられた外国人労働者と、台湾人の配偶者のうち経済的に苦しく、まだ帰化していない人(帰化しても戸籍をまだ設けていない人を含みます)は、誓約書を出せば資力がないものと推定され、資力の審査を受けません(13条3項)。法定刑の下限が3年以上の有期徒刑にあたる事件などで、捜査段階の最初の取調べを受けるときや、裁判で弁護人がいないときも、資力審査は不要です(5条4項1号、13条2項2号)。一般的な利用資格や費用のルールは、別の記事で説明しています。
外国人も法律扶助を申請できますか?
できます。ただし、まず法律扶助法14条1項のいずれかに当たる必要があります。最も基本となるのは「中華民国の領域内に合法的に居住している人」(1号)です。法律扶助基金会のウェブサイトでも、外国人は原則として台湾に合法的に住んでいる必要があると説明されています。
合法的に住んでいない場合については、自分の責任ではない理由で居留資格を失った場合(2号)、人身取引の被害者またはその疑いがある場合(3号)、その他基金会が決議した場合(7号)などが挙げられています。審査の方法は基金会が定めます(14条2項)。
非中華民國國民符合下列情形之一者,本法之扶助規定亦適用之:一、合法居住於中華民國境內之人民。二、因不可歸責於己之事由而喪失居留權。三、人口販運案件之被害人或疑似被害人。四、非居住於中華民國境內之人民,曾因同一事實受基金會扶助。五、非居住於中華民國境內之人民,對於他人曾因同一事實受基金會扶助後死亡,依中華民國法律得行使權利。六、非居住於中華民國境內之人民,對於他人因職業災害死亡,依中華民國法律得行使權利。七、其他經基金會決議。(法律扶助法第14條第1項)
〔非公式要約〕中華民国籍でない人も、合法的な居住、自分の責任ではない理由による居留資格の喪失、人身取引の被害など、1号から7号のいずれかに当たれば、この法律の扶助の規定が適用されます(法律扶助法14条1項)。
短期の滞在中や、台湾を離れた後でも申請できますか?
法律扶助法第14条第1項のいずれかの要件に当たるかを確認します。第1号の合法的な居住を示す資料について、法律扶助基金会の外国人向け審査規則第2条は、ビザ、停留証、居留証、定居証、その他合法的な居住を示す資料を挙げています。居留証だけに限定されてはいません。短期滞在や査証免除で入国した人も、滞在の適法性を示す資料を提出し、基金会が個別に資格と必要な資力要件を審査します。
4号から6号は、「中華民国の領域内に居住していない人」についての規定です。同じ事実について以前に基金会の扶助を受けた場合、同じ事実で扶助を受けた人が亡くなり、中華民国の法律で権利を行使できる場合、他人が労働災害で亡くなり、中華民国の法律で権利を行使できる場合が挙げられています。なお、日本など中華民国の領域外で行われる訴訟には、扶助は認められません(15条1項6号)。
外国人労働者が申請するとき、資力の審査はありますか?
就業服務法46条1項8号から10号に基づいて受け入れられた外国人は、誓約書を出せば資力がないものと推定され、資力の審査を受けません(法律扶助法13条3項1号)。この3つの号に当たるのは、漁船での漁業の仕事、家事使用人・施設介護・在宅介護の仕事、国の重要建設や経済社会の発展のために中央主管機関が指定した仕事です。
誓約の認定方法は基金会が定めます(13条4項)。なお、基金会のウェブサイトによれば、資力とは別に「案情」(事件の内容)の審査は行われます。労働部労働力発展署の1955ホットラインは、24時間、多言語、無料で、法律に関する相談も受け付けています。
有下列情形之一者,經切結後推定為無資力,無須審查其資力:一、依就業服務法第四十六條第一項第八款至第十款引進之外國人。二、經濟弱勢且尚未歸化或歸化後尚未設有戶籍之國人配偶。(法律扶助法第13條第3項)
〔非公式要約〕一定の職種で受け入れられた外国人労働者と、台湾人の配偶者のうち経済的に苦しく、帰化していないか帰化後まだ戸籍のない人は、誓約書を出せば資力がないものと推定され、資力の審査を受けません(法律扶助法13条3項)。
外国人配偶者が申請するとき、資力の審査はありますか?
台湾人の配偶者のうち、経済的に苦しく、まだ帰化していない人や、帰化しても戸籍をまだ設けていない人も、誓約書を出せば資力がないものと推定され、資力の審査を受けません(13条3項2号)。台湾人と結婚して帰化していない日本国籍の方も、経済的に苦しい状況であれば対象になり得ます。
帰化していない外国人配偶者は中華民国の国籍を持たないため、14条1項のいずれかに当たることも必要です。
重大な事件では、資力の審査なしで申請できますか?
できます。法定刑の下限が3年以上の有期徒刑にあたる事件や、高等法院(高等裁判所)が第一審を担当する事件で、捜査段階で初めて取調べを受けるとき、または裁判で弁護人を選んでいないときは、申請時の資力審査がありません(5条4項1号、13条2項2号)。ただし、外国籍の人は14条1項に当たることが前提です。
この場合に本人が法律扶助を申請していなくても、裁判長や検察官は基金会に通知して、扶助弁護士に弁護や補佐をさせることができます(13条6項)。また取調べの前には、弁護人を選任できること、法令により法律扶助を求められる人は求めることができることが告げられます(台湾の刑事訴訟法95条1項3号)。
外国人だという理由で、裁判所が弁護人を付けてくれますか?
刑事訴訟法31条1項は、裁判で必ず弁護人を指定しなければならない場合(日本の必要的弁護に近いもの)を挙げていますが、その中に外国籍を理由とするものはありません。
挙げられているのは、法定刑の下限が3年以上の有期徒刑にあたる事件、高等法院が第一審を担当する事件などです。それ以外の事件では、裁判長が必要と認めたときに指定します(6号)。言葉が通じないことは、通訳を付けることで対応する問題とされています(99条1項)。
まずは法律の質問だけしたい、という場合も利用できますか?
できます。口頭の法律相談は、申請時に資力を審査しない場合に当たり(法律扶助法13条2項4号)、法律相談も法律扶助の一つです(4条4号)。
法律扶助基金会のウェブサイトは、法律相談は「身分や資格を問わず、台湾にいる人なら誰でも利用できる」と説明しています。全国共通ダイヤルは412-8518です(固定電話からはそのまま、携帯電話からは02を付けてかけます)。通訳などの言葉の支援が必要な場合は、連絡するときに確認してください。
自分で弁護士を選んで依頼したいとき、どこで情報を得られますか?
台湾にある一部の外国公館が公開している弁護士の名簿を参考に、ご自身で確認する方法があります。たとえば日本台湾交流協会は、日本語で対応できる法律事務所のリストを公開していますが、推薦ではなく、ご自身で判断するよう注記しています。米国在台協会(AIT)は北部と南部それぞれの英語対応の弁護士名簿を公開し、AITの職員は弁護士の役割を務めたり法的な助言をしたりできないと説明しています。駐台北韓国代表部は、自国民が逮捕・拘禁されたときに弁護士や通訳の名簿を提供できるとしていますが、弁護士費用や訴訟費用などは負担しないと説明しています。
弁護士費用の示し方や、刑事事件での報酬の制限については、弁護士費用と法律扶助の資格をご覧ください。
扶助の申請資料と出頭日の確認
外国人が刑事事件で法律扶助を利用できるかどうかは、まず14条1項に当たるか、次に資力と事件の内容で決まります。また、捜査段階の最初の取調べなのか、裁判で弁護人がすでについているのかによって、5条4項1号が使えるかどうかも変わります。ご自身の場合がどうなるかわからないときは、ご相談ください。この記事は一般的な説明で、個別の事件についての法的意見ではありません。
