本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
どちらに当たるかは、行為の内容で決まります。性的な要求や、性的な意味合い・性差別を含む言動によって、敵対的・威圧的・不快な職場環境が生まれたり、それが雇用条件と引き換えにされたりする場合は、性別平等工作法上の職場のセクハラ(性騒擾)になり得ます。一方、職場いじめは、職務上の地位や権限などの関係を利用し、業務上必要かつ合理的な範囲を超えて不当な言動を繰り返し、心身の健康を害することです(職業安全衛生法)。ただし、行為が重大であれば、繰り返されていなくても該当します。両方に当たる場合もあり、そのとき雇用主は、それぞれの手続きを進めたうえで、申立人の希望に沿って面談をまとめて行い、同じ質問を何度もしないようにします(職場霸凌防治措施準則第27条)。
二つの定義
職場いじめ:職業安全衛生法第22条の1第1項によると、労働者が職場で仕事をしているときに、同じ事業単位の人が職務上の地位や権限などの関係を利用し、業務上必要かつ合理的な範囲を超えて、相手を傷つける言動、脅し、冷遇、孤立、侮辱などの不当な言動を続け、その労働者の心身の健康を害することをいいます。ただし、行為が重大であれば、続いていなくても該当します。
職場のセクハラ(性騒擾):性別平等工作法第12条第1項は、次の二つの型を定めています。
- 環境型(敵意環境型):労働者が仕事をしているときに、誰かが性的な要求や、性的な意味合い・性差別を含む言動によって、敵対的・威圧的・不快な職場環境をつくり、その人の尊厳や自由を侵害したり、仕事ぶりに影響を与えたりする場合です。
- 対価型(交換条件型):雇用主が労働者や求職者に対し、はっきりと、またはそれとなく性的な要求や、性的な意味合い・性差別を含む言動をし、それを採用、雇用の継続・変更、配属、賃金、評価、昇進、降格、賞罰などの条件にする場合です。
セクハラに当たるかどうかは、出来事の背景、職場環境、当事者の関係、行為者の言動、受けた側の受け止め方などの具体的な事実から判断します(第12条第4項)。学校で起きたセクハラ(性別平等教育法の対象)を除き、職場のセクハラには性別平等工作法が適用されます(第1条第2項)。
手続きと期限の比較
| 項目 | 職場いじめ | 職場のセクハラ |
|---|---|---|
| 主な根拠 | 職業安全衛生法第22条の1~3、職場霸凌防治措施準則 | 性別平等工作法第12・13・32条の1、職場の性騒擾防止措置準則 |
| 行為者 | 職務上の地位や権限などの関係を利用する、同じ事業単位の人員 | 環境型は誰でも、対価型は雇用主 |
| 行為の内容 | 相手を傷つける言動、脅し、冷遇、孤立、侮辱などの不当な言動(定義上、性やジェンダーとの関係は問わない) | 性的な要求、性的な意味合いや性差別を含む言動 |
| 地方主管機関への直接の申立て | 申立ての相手が最高責任者の場合(職業安全衛生法第22条の3第1項) | 相手が最高責任者または雇用主である場合、雇用主が対応しない場合、調査や懲戒の結果に不服がある場合(性別平等工作法第32条の1第1項) |
| 地方主管機関への申立て期間 | 行為が終わってから3年。事件当時に在職していた場合は、退職の日から1年以内も可(第22条の3第2項) | 権勢によらない場合:知ってから2年、行為が終わってから5年。権勢による場合:知ってから3年、行為が終わってから7年(第32条の1第2項)。特別な場合は別の規定あり(同条第3項) |
| 雇用主の処理期限 | 30人未満は3か月、30~99人は4か月(いずれも必要に応じ1か月延長可。準則第21条)。100人以上は準則第17条・第18条で計算 | 申立てを受けた翌日から2か月以内に申立ての処理を終える(必要に応じ1か月延長可。性騒擾防止措置準則第18条第1項) |
| システムへの報告 | 受理した翌日から7営業日以内にシステムへ登録(準則第11条、職業安全衛生法第22条の2第3項) | 申立てを受けたときに地方主管機関へ通知し、セクハラと認定した場合は結果も通知(性別平等工作法第13条第4項) |
| 報復(不利益な扱い)の禁止 | 準則第20条、職業安全衛生法第39条第4項 | 性別平等工作法第36条 |
両方に当たりそうなときは
職場いじめの申立てに職場のセクハラも含まれている場合、雇用主はそれぞれの手続きに従って対応しなければなりません(準則第27条)。そのうえで、申立人の希望や申立ての内容に応じて、面談や事実確認をまとめて行い、同じ説明を何度も求めないようにします。
最高責任者を相手に地方主管機関へ申し立てた場合も、同じ仕組みです。職場いじめとセクハラのそれぞれの処理規則に沿って手続きを進めながら、面談はまとめて行い、同じ質問を繰り返さないようにします(「地方主管機關受理最高負責人職場霸凌事件申訴處理辦法」第19条)。
条文では二つの手続きをそれぞれの規定に従って行うため、担当者の構成、期限、報告の要件を別々に満たす必要があります。一方、面談を合わせて行えば、申立人は同じ経緯を何度も説明せずに済みます。
申立書は、どう書けばよいですか?
- 出来事を日付順に並べ、それぞれについて相手、場所、その場にいた人、具体的な言葉や行為を書きます。
- 何でも「いじめられた」とひとまとめにせず、性やジェンダーに関わる言動は、具体的な内容を正確に書きます。
- 面談をまとめて行うことを希望するか、隔離などどんな保護措置を望むかを伝えます(いじめ準則第7条第1項第1号、性騒擾準則第6条第2項第1号)。
- 早めに申し立てましょう。二つの制度では、期限の数え始めが違います。
刑事上の違い
相手が抵抗する間もないうちにキスをする、抱きつく、体の私的な部分を触るといった行為は、別に性騒擾防治法第25条の罪に当たることがあります。親告罪で、性別平等工作法第38条の4により職場での事件にも適用されます。告訴の期限と方法はセクハラを受けたら、どうすればよいですか?をご覧ください。
職業安全衛生法の罰則は、雇用主や最高責任者に対する行政上の過料です(第43条・第45条・第46条)。具体的な言動が刑法第309条の公然侮辱、第310条の名誉毀損、第305条の脅迫に当たるかどうかは、別に要件を検討します。詳しくは職場のいじめは刑事事件になりますか?をご覧ください。親告罪の場合は、原則として犯人を知ってから6か月以内に刑事告訴する必要があります(刑事訴訟法第237条第1項)。
このページは一般的な情報の提供であり、個別の事件への法的意見ではありません。
