本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
中国語ができなくても通報できます。捜査や裁判で言葉が通じないときは、法律に基づいて通訳が付きます(台湾の刑事訴訟法99条、法院組織法(裁判所組織法)98条)。被害者として捜査や裁判に協力する必要があると検察官または裁判官が認めた場合は、移民署が居留の継続を許可することができます(入出國及移民法(入出国及び移民法)31条4項7号)。危険が迫っているときは、まず110番へ。
中国語ができなくても通報できますか?
できます。警政署(日本の警察庁にあたる機関)によると、各地の警察には通訳の連絡名簿があり、深夜や名簿に適任者がいないときは、1955か1990のホットラインをつないだ三者通話で、二言語の通訳をしてもらえます。1955は日本語に対応していないので、日本語の通訳が必要なときは1990などにつないでもらうよう頼んでください。なお警政署は、人材仲介会社の職員は、自社の仲介業務に関係する事件の通訳はできないと説明しています。警政署の「外国人生活安全Q&A」によると、1990ホットラインの受付時間は、中国語・英語・日本語が24時間、ベトナム語・インドネシア語・タイ語・カンボジア語が月曜から金曜(祝日を除く)の9時から17時までです。
身の危険が迫っているときは、まず110番へ。家庭内暴力、セクハラ、つきまといの被害は、113保護ホットライン(24時間・無料)でも相談でき、英語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、日本語の5言語で通訳を受けられます。日本語で相談したいときは、移民署の1990ホットライン(中国語・英語・日本語は24時間対応)も使えます。
調書を取られるときや取調べ、法廷で、通訳を頼めますか?
頼めます。刑事訴訟法99条は、言葉が通じない人には通訳を付けると定めていて、この規定は被害者など、取調べを受けるほかの人にも準用されます。法院組織法98条も、国語(中国語)がわからない証人などには通訳を付けると定めています。
法務部が定める「検察機関が刑事事件で通訳を使う際の注意事項」は告訴人や証人にも適用され、検察官は、通訳が必要かどうかを自分から確認するのが望ましいとされています。知人に頼むなど、自分で通訳者を用意した場合は、その人の身元、通訳の力、本人との関係を検察官が確認します(第2・3・7点)。
被告為聽覺或語言障礙或語言不通者,應由通譯傳譯之;必要時,並得以文字訊問或命以文字陳述。前項規定,於其他受訊問或詢問人準用之。但法律另有規定者,從其規定。(刑事訴訟法第99條)
〔非公式要約〕言葉が通じない被告には通訳を付け、必要なら書面で質問や陳述もでき、ほかの取調べ対象者にも準用されます(刑事訴訟法99条)。
居留期限が近いのに事件が終わらないときは、どうすればよいですか?
駐在や留学で居留証(外僑居留證)を持っている方が、期限後も台湾にいる必要があるときは、期限が切れる前に移民署へ延長を申請しなければなりません(入出國及移民法31条1項)。居留期間中に居留の理由(就労や就学など)がなくなると、原則として居留許可は取り消されます。ただし、被害者や証人として捜査や裁判に協力する必要があり、その出廷や証言が役立つと検察官または裁判官が認めた場合は、移民署が居留の継続を許可できます(入出國及移民法31条4項7号)。許可するかどうかは移民署が審査します。
この規定は、居留期間中であることが前提です。停留ビザ(短期滞在用のビザ)で入国した方は、同法31条1項と外國人停留居留及永久居留辦法(外国人停留居留永住規則)3条により、移民署に停留期間の延長を申請します。ビザなし(免簽證)で入国し、期限までに出国できない方は、同辦法4条により外交部領事事務局に停留ビザを申請します。犯罪の被害にあったために滞在期限を過ぎてしまった外国人については、移民主管機関が居留や定住に関する権利を守れるよう支援し、その後の帰国(送還)の手続きにも協力することになっています(犯罪被害人權益保障法(犯罪被害者権益保障法)6条2項5号)。
移民署對於外國人於居留期間內,居留原因消失者,廢止其居留許可……但有下列各款情形之一者,得准予繼續居留:……七、刑事案件之被害人、證人有協助偵查或審理之必要,經檢察官或法官認定其到庭或作證有助於案件之偵查或審理。(入出國及移民法第31條第4項)
〔非公式要約〕居留期間中に居留の原因が消えれば居留許可は廃止されますが、被害者や証人の出廷などが役立つと検察官または裁判官が認めた場合などは継続を許可できます(入出國及移民法31条4項)。
帰国した後も、代理人に告訴を任せられますか?
任せられます。告訴は代理人に委任できます。ただし、検察官や司法警察官が必要と判断すれば、本人に出頭を命じることがあります(刑事訴訟法236条の1第1項)。告訴の期限と流れは〈刑事告訴をしたいとき:親告罪、6か月の告訴期間と手続きの流れ〉をご覧ください。
犯罪被害人權益保障法による保護サービスは、台湾にいる間に限られます(15条3項)。一方、補償金は、本人が申請できないときは代理人に委任して申請できます(55条1項)。
外国人も犯罪被害補償金を申請できますか?
犯罪被害人權益保障法は、被害の種類と犯罪が起きた場所によって対象者を決めています。犯罪行為で亡くなった人の遺族、重傷を負った人、性的自己決定権を侵害された人は、補償金を申請できます(50条)。ここでいう犯罪行為とは、台湾(中華民国)の領域内、または領域外にある台湾の船舶・航空機内で行われた、台湾の法律で刑罰が定められている行為です(3条1号)。
50条から57条のうち、「台湾に戸籍を持つ国民」であることを要件としているのは、国民が国外で被害にあって亡くなった場合の「境外補償金」です(52条1項4号、54条)。強制汽車責任保險法(強制自動車責任保険法)で給付などを請求できる場合は対象外です(50条ただし書)。申請は、犯罪地を管轄する審議会に書面で行います(62条1項)。金額や申請期限は〈犯罪の被害者は、刑事裁判に参加できますか?〉をご覧ください。
因犯罪行為被害致死亡者之遺屬、致重傷者及性自主權遭受侵害之人,得申請犯罪被害補償金。但依強制汽車責任保險法得請求給付或補償者,不適用之。(犯罪被害人權益保障法第50條)
〔非公式要約〕犯罪行為による死亡者の遺族、重傷者、性的自己決定権を侵害された人は補償金を申請できますが、強制汽車責任保險法で請求できる場合は除かれます(犯罪被害人權益保障法50条)。
どのような保護サービスや相談先がありますか?
犯罪被害人保護協会の無料ホットライン(0800-005-850)に相談できます。法律上、被害者とその家族は、人間としての尊厳が守られ、差別されることのない保護サービスを受けられることになっています(犯罪被害人權益保障法7条)。
観光中に被害にあった外国人への緊急対応は交通主管機関が、外国人に関わる事務の支援は外交主管機関が担当します(6条2項6号、7号)。在台の各国機関がどこまで支援してくれるかは、それぞれの公表内容によります。たとえば米国在台協会(AIT)は、公式の通訳は務めず、法的助言もしないと明示しています。日本の方は、日本台湾交流協会の案内を確認してください。
人身取引の被害者かもしれないときは、どんな保護がありますか?
人身取引の不法な手段には、重要な書類を取り上げることや、不当な借金で縛ることなども含まれます(人口販運防制法(人身取引防止法)2条1号(一))。司法警察機関は、疑わしい事件を把握したら、すぐに被害者かどうかを見極めなければならず、その判断や異議の結果が出るまでは、強制退去させてはなりません(11条1項、8項)。
被害者と認められると、申請により1年間有効の居留許可(延長可)が出され、就労許可も自分で直接申請できます。通訳や法律面の支援なども受けられます(14条1項、3項、15条1項)。台湾の外にいても、台湾の在外公館などで、映像や音声を使った尋問を受けることができます(23条2項)。
通訳・居留・被害者支援の相談
居留期限や帰国の予定と、事件の進み具合をあわせて考える必要があるときは、ご相談ください。台湾に合法的に住んでいる外国人と、人身取引事件の被害者または被害者と疑われる人は、法律扶助(弁護士費用などの援助)を受けられる場合があります(台湾の法律扶助法14条1項1号、3号)。法律扶助基金会によると、法律相談は身分や資格を問わず、台湾にいる人なら誰でも利用できます(412-8518)。本記事は一般的な説明であり、個別の事件についての法的助言ではありません。
