本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。
捜索には原則として令状が必要です。令状には裁判官が署名し、事件名、捜索の対象となる人や物、場所、有効期間を書きます(台湾刑事訴訟法第128条)。被告(台湾では起訴前の対象者も含みます)を逮捕、拘提(強制的に身柄を連行する処分)、羈押(勾留)するときは、令状がなくても、本人の身体、携帯品、すぐ手の届く場所を捜索できます(第130条、付随捜索)。法律に定める緊急の場合は、令状なしで住居を捜索することもできます(第131条)。捜索を受ける人が自分の意思で同意したときも令状は不要ですが、執行する人は身分証を示し、同意したことを調書に記録しなければなりません(第131条の1)。証拠になる物や没収の対象となる物は押収できます(第133条)。裁判長、受命裁判官、受託裁判官、検察官による捜索・押収の処分に納得できないときは、処分を受けた人が10日以内に、その裁判所に取消しや変更を申し立てられます(第416条)。
警察は、自宅を自由に捜索したり、スマホを押収したりできますか?
自由にできるわけではありません。被告や被疑者の身体、持ち物、電磁的記録、住居などは、必要があれば捜索できます。一方、第三者の身体、持ち物、電磁的記録、住居などを捜索できるのは、そこに被告・被疑者がいる、または押収すべき物や電磁的記録があると信じるに足りる相当な理由があるときに限られます(第122条)。捜索は押収すべき物や電磁的記録(スマホ内のデータなど)を探すこと、押収は証拠となる物や没収の対象となる物を取り上げることで、二つは別の処分です。
對於被告或犯罪嫌疑人之身體、物件、電磁紀錄及住宅或其他處所,必要時得搜索之。對於第三人之身體、物件、電磁紀錄及住宅或其他處所,以有相當理由可信為被告或犯罪嫌疑人或應扣押之物或電磁紀錄存在時為限,得搜索之。(刑事訴訟法第122條)
〔非公式要約〕被告・被疑者については必要なときに、第三者については、被告・被疑者や押収すべき物・電磁的記録がそこにあると信じるに足りる相当な理由があるときに限り、捜索できます(刑事訴訟法第122条の趣旨)。
捜索令状には何が書かれ、誰が請求するのですか?
捜索は原則として令状によって行います(第128条第1項)。令状には、事件名、捜索する被告・被疑者または押収すべき物(被告・被疑者が誰かわからないときは省略できます)、捜索する場所・身体・物・電磁的記録、有効期間(期間を過ぎたら執行できないこと、捜索後に令状を返すこと)を書きます(同条第2項)。令状には裁判官が署名し、発付の手続きは公開されません(同条第3項・第4項)。
捜査段階で検察官が捜索を必要と考えたときは、第131条第2項の緊急の場合を除き、理由を書面で示して裁判所に令状を請求します(第128条の1第1項)。司法警察官は、検察官の許可を得たうえで裁判所に請求します(同条第2項)。裁判所がこれらの請求を却下しても、不服を申し立てることはできません(同条第3項)。
逮捕されるとき、警察は令状なしで体を調べられますか?
できますが、範囲は限られます。被告や被疑者を逮捕するとき、または拘提・羈押を執行するときは、令状がなくても、本人の身体、身に着けている物、使っている乗り物、すぐ手の届く場所を捜索できます(第130条)。この「付随捜索」は、逮捕などを実際に執行することが前提で、範囲もすぐ手が届く場所に限られます。
令状なしで住居を捜索できるのは、どんな緊急の場合ですか?
第131条第1項は、次のような場合に令状なしで住居などを捜索できると定めています。逮捕・拘提・羈押の対象者が中にいると認められる事実がある場合、現行犯を追いかけていたり逃走者を捕まえようとしたりしていて、本人が中にいると認められる事実がある場合、中で犯罪が行われていることが明らかで緊急を要する場合です。また検察官は、捜査中、すぐに捜索しなければ24時間以内に証拠が偽造、変造、隠滅、隠匿されるおそれがあると認める相当な理由がある緊急の場合にも、令状なしで捜索できます(第2項)。
こうした令状なしの捜索をしたときは、検察官が行った場合は3日以内に管轄の裁判所へ、検察事務官・司法警察官・司法警察が行った場合は3日以内に管轄の検察署の検察官と裁判所へ報告しなければなりません。裁判所は、認めるべきでないと判断したら5日以内に取り消します(第131条第3項)。報告がなかった場合や取り消された場合は、裁判で押収物を証拠として使えないと宣告されることがあります(同条第4項)。
「同意捜索」とは何ですか?どんな条件がありますか?
捜索を受ける人が自分の意思で同意したときは、令状なしで捜索できます。ただし、執行する人は身分証を示し、同意したことを調書に記録しなければなりません(第131条の1)。つまり法律上の条件は、同意が本人の自由な意思によること、執行する人が身分証を示して同意を調書に残すこと、の二つです。
搜索,經受搜索人出於自願性同意者,得不使用搜索票。但執行人員應出示證件,並將其同意之意旨記載於筆錄。(刑事訴訟法第131條之1)
〔非公式要約〕捜索を受ける人が自分の意思で同意したときは、令状なしで捜索できます。ただし、執行する人は身分証を示し、同意したことを調書に記録しなければなりません。
押収とは何ですか?どんな物が押収されますか?
証拠になり得る物や、没収できる物は押収できます。追徴(没収に代えて金額を取り立てること)に備えるため、必要なら、被疑者・被告や第三者の財産を相当な範囲で押収することもできます(第133条第1・2項)。押収すべき物の所有者、所持者、保管者には、その物の提出や引渡しを命じることができます(同条第3項)。
押収は裁判官や検察官が自ら行うほか、検察事務官、司法警察官、司法警察に命じて行わせることもできます。その場合は、渡す捜索令状や押収の決定書に、その旨を書かなければなりません(第136条)。弁護士・弁護人と被告・被疑者(被疑者となる可能性のある人を含みます)との秘密の連絡から生じた文書や電磁的記録は、憲法上の保護を受けます。2023年の憲法法廷判決(112年憲判字第9号)は、こうした資料を捜索・押収から除外する保障がない点を違憲と判断し、2年以内の法改正を求めました。改正が完了するまでの間も、裁判官、検察官、関係職員は判決の趣旨に従って秘密の連絡を保護しなければなりません。ただし、弁護士・弁護人が証拠の隠滅・偽造・変造や、共犯者・証人との口裏合わせをしたと認めるに足りる資料がある場合には、この保護による捜索・押収の制限は適用されません。また、判決は、法律事務所の捜索に特別の手続きを設けていないこと自体は違憲ではないとしています。法律事務所の全資料が一律に捜索・押収の対象外になるわけではありません。
捜索や押収のとき、住んでいる人には立ち会う権利がありますか?
捜索や押収を行う人は、法律上令状や押収の決定書が不要な場合を除き、それをその場にいる人に示さなければなりません(第145条)。人が住んでいる、または管理している住居などで捜索や押収をするときは、住んでいる人、管理している人、その代わりとなる人を立ち会わせます。そうした人がいないときは、近所の人や地元の自治組織の職員を立ち会わせることができます(第148条)。
捜索や押収に納得できないときは、どうすればよいですか?
裁判長、受命裁判官、受託裁判官、検察官による捜索、押収、押収物の還付・換価などの処分に不服がある人は、その裁判所に処分の取消しや変更を申し立てることができます。処分がすでに終わっていても申し立てられます。取り消された場合は、裁判で押収物を証拠として使えないと宣告されることがあります(第416条第1項第1号、第2項)。
申立期間は10日です。処分の日を基準とし、送達される処分は送達後から数えます。日を単位とする期間では初日を算入しないため、通常はその翌日から数えます(第416条第3項、第65条、民法第120条)。捜索令状、押収品の目録、受け取った書類は手元に保管しておいてください。
令状と押収品目録の確認
捜索や押収は、あわただしく進むことがよくあります。後から、令状の記載や押収品の目録が法律の要件を満たしているか確かめたいとき、処分の取消しや変更を申し立てたいときは、早めにご相談ください。この記事は一般的な説明で、個別の事件についての法的意見ではありません。
