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DV(家庭内暴力)の保護命令:申し立て方と、違反したときの罪

通常・暫定保護命令は被害者本人が申し立てられます。緊急保護命令は検察官、警察、主管機関からの申立てが必要です。

更新日 2026-10-26

本記事は台湾法に基づきます。相談は中国語で行いますが、通訳の手配についてご相談ください。

要点

台湾の家庭暴力防治法が守る「家族」は配偶者に限りません。同居している人、家長と家族の関係にある人、一定の血縁関係にある人も含まれます。民事の保護命令には通常・暫定・緊急の3種類があり、申立てに裁判所に納める手数料(裁判費)はかかりません。緊急保護命令は、裁判所が申立てを受け、被害者に差し迫った危険があると判断すれば4時間以内に出されます。相手が命令を破った場合、それが同法第61条に挙げられた内容への違反であれば、保護命令違反罪という別の犯罪が成立することがあります。今まさに身の危険があるときは110へ。相談や付き添いの支援が必要なときは、無料・24時間対応の113保護ホットラインに電話してください。

どんな行為が家庭内暴力にあたり、誰が「家族」に含まれますか?

家庭内暴力とは、家族の間で身体的・精神的・経済的な嫌がらせ、支配、脅しその他の不法な侵害を加えることをいいます(家庭暴力防治法第2条第1号)。ここでいう「家族」の範囲は広く、第3条では次の人が挙げられています。配偶者と元配偶者、同居関係・家長と家族の関係・家族同士の関係にある人やかつてあった人、現在または過去の直系血族、現在または過去の四親等以内の傍系血族、四親等以内の血族の配偶者や、配偶者の四親等以内の血族とその配偶者(いずれも過去にその関係にあった人を含みます)、そしてこれらの人の未成年の子です。

つまり、同居中のパートナー、離婚した元の配偶者、以前一緒に暮らしていた親族との間でも、この法律を使える可能性があります。いま結婚している相手に限った話ではありません。さらに、家族にはあたらなくても、16歳以上の人が、今または以前に親密な関係にあった、同居していないパートナー(交際相手など)から身体的・精神的な不法な侵害を受けた場合には、保護命令に関する規定の一部が準用されます(第63条の1第1項)。ここでいう親密な関係のパートナーとは、恋愛感情や性的な関係をもとに、親密な付き合いをする間柄の相手をいいます(同条第2項)。

保護命令の3つの種類は、どう違いますか?

民事の保護命令には、通常保護命令、暫定保護命令、緊急保護命令の3種類があります(第9条)。通常保護命令は、裁判所が審理をしたうえで出すものです。暫定保護命令と緊急保護命令は、被害者を目の前の危険から守るためのもので、審理を経ずに出すことができます(第16条第1項)。緊急保護命令の申立てを受けた裁判所は、申立人が出廷して、または電話で説明した事実から、被害者に差し迫った危険があると認めれば、4時間以内に書面で命令を出さなければなりません。命令はファクスなどで警察機関に送ることもできます(同条第4項)。

どこに申し立てればよいですか? 費用はかかりますか?

通常保護命令と暫定保護命令は、被害者本人が裁判所に申し立てることができます。被害者が未成年である、心身に障害がある、その他の事情で代理人を頼みにくいといった場合は、法定代理人や三親等以内の血族・姻族が代わりに申し立てられます。検察官、警察機関、直轄市・県(市)の主管機関も、職権で申し立てることができます(第10条第1・2項)。保護命令の申立て、取消し、変更、延長、抗告には、いずれも裁判所に納める手数料(裁判費)がかかりません(同条第3項)。申立て先は、被害者の住所地・居所地、相手方の住所地・居所地、または暴力が起きた場所を管轄する地方裁判所です(第11条第1項)。

申立ては書面でするのが原則です。ただし被害者に差し迫った危険があるときは、検察官、警察機関、主管機関が、口頭やファクスなどの通信手段で緊急保護命令を申し立てることができ、夜間や休日でもかまいません(第12条第1項)。緊急保護命令を申し立てられるのはこれらの機関だけで、被害者本人が直接裁判所に求めることはできません。危険が迫っているときは、まず警察に通報し、警察から裁判所に申し立ててもらってください。

保護命令では、どんなことを命じてもらえますか?

裁判所は、審理の結果、家庭内暴力の事実があり命令が必要だと認めたときは、申立てにより、または職権で、次のような措置を一つ以上盛り込んだ通常保護命令を出さなければなりません(第14条第1項、抜粋)。暴力をふるうことの禁止、嫌がらせ・接触・つきまとい・電話・通信などの禁止、住居からの退去、住居・学校・職場などへの接近禁止、車やバイクなど生活に欠かせない物を誰が使うかの決定、加害者処遇プログラムの受講、相当額の弁護士費用の負担、未成年の子の親権や面会交流に関する定めなどです。通常保護命令の有効期間は2年以下です。期間が切れる前に取消し・変更・延長を申し立てることができ、延長は1回につき2年以下です(第15条第1・2項)。緊急保護命令以外の保護命令は、出されてから24時間以内に当事者、被害者、警察機関、直轄市・県(市)の主管機関に送られます(第18条第1項)。

「家庭内暴力罪」という独立した罪があるのですか?

家庭内暴力罪とは、家族の間で故意に家庭内暴力をふるい、それが他の法律で定める犯罪にあたる場合をいいます(第2条第2号)。そういう名前の罪が別にあるわけではなく、傷害罪や脅迫罪などが家族の間で起きたときの呼び方です。警察は家庭内暴力罪の現行犯を見つけたら、その場で逮捕しなければなりません。また、検察官や司法警察官・司法警察は、捜査の中で、被告(台湾では起訴前の捜査対象者も含みます)や被疑者が家庭内暴力罪または保護命令違反罪を犯した疑いが強く、家族の生命・身体・自由がこの先も侵害されるおそれがあって急を要すると判断したときは、令状なしで拘提(強制的に身柄を連行する手続き)ができます(第29条)。

保護命令違反罪は、どんなときに成立し、どんな刑になりますか?

違反法院依第十四條第一項、第十六條第三項……所為之下列裁定者,為違反保護令罪,處三年以下有期徒刑、拘役或科或併科新臺幣十萬元以下罰金:一、禁止實施家庭暴力。二、禁止騷擾、接觸、跟蹤、通話、通信或其他非必要之聯絡行為。三、遷出住居所。四、遠離住居所、工作場所、學校或其他特定場所。五、完成加害人處遇計畫。(家庭暴力防治法第61條,節錄)

〔非公式要約〕家庭暴力防治法第61条は、第14条第1項などに基づく命令のうち、暴力、嫌がらせ・接触・追跡・通信、住居からの退去、特定場所への接近、加害者処遇プログラムに関する指定された命令への違反について、3年以下の有期徒刑(台湾の有期の自由刑)、拘役または10万台湾ドル以下の罰金(併科を含む)を定めています(抜粋)。

同条第6~8号では、被害者の性的な画像を広めることを禁じる命令、持っている被害者の性的画像を引き渡す・削除するよう命じる命令、アップロード済みの画像を削除する、またはプラットフォーム事業者に削除を申請するよう命じる命令に違反した場合も、保護命令違反罪になるとしています。この罪が成立するのは、条文に挙げられた特定の内容の命令に違反したときです。未成年の子との面会交流の取決めなど、それ以外の命令を守らなかった場合は、基本的に民事執行の問題であり、それだけで当然にこの罪になるわけではありません。どちらにあたるかは、命令の具体的な内容を見て判断します。

安全の確保と保護命令の申立て

どの保護命令を申し立てればよいかわからない、相手がすでに命令を破っている、刑事事件と離婚・子どもの親権の問題が同時に起きている――こうした場合は、一度ご相談ください。このページは一般的な説明であり、個別の事件についての法的意見ではありません。

根拠法令(台湾・全國法規資料庫)家庭暴力防治法 ↗台湾刑事訴訟法 ↗

113ホットラインの出典:台湾衛生福利部保護服務司「113保護ホットラインの案内」。